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「文具×コスメ」でどうなった? キングジムの“シール”が人気の理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月16日 9時0分

 「製作過程において最も苦労したのが、デザインの組み合わせです。スマニムさんの原画は約300枚あり、それ以外のデザインも膨大にある中で、全体のバランスが整うよう慎重に選んでいきました。実際に手帳などに貼ってみて、仕上がりの印象を見ながら微調整しました」

●手帳をデコってSNSに投稿

 試行錯誤した結果、全20種類のラインアップを各594円で発売することが決定した。多種類の展開もまたコスメパレットを意識していると戸上氏。

 「ヒトトキの文房具は組み合わせて使いやすいよう工夫しており、コフレに関しても異なる色や形状を組み合わせて使っていただきたいと考えました。また、コスメパレットは複数種類を一度に発売するのが通常ですので、本物のコスメ感を出すためにも多種類展開は欠かせませんでした」

 2023年10月に発売すると、ヒトトキのユーザーをはじめ幅広い年代から反響を得た。どの種類も同じくらい売れているという。

 「通常ヒトトキの製品では、人気のデザインとそうでないものの差があることが多いのですが、コフレは比較的均等に売れています。一番人気は丸い形状の『CIRCLE(サークル)』という商品ですが、僅差ですね」

 複数種類をまとめ買いする人も少なくない。ヒトトキの公式オンラインストア限定で販売している5種類の形状をカラーごとにセットした「COFFRET SET(コフレセット)」(2970円)も好調だという。

 コフレのPRでは主にInstagramを利用しており、ヒトトキの公式アカウントで商品紹介や利用シーンの提案を行っている。アカウントには現在14万6000人のフォロワーがおり、コフレを使った手帳のデコレーションを紹介した投稿は、特に反応が良かったという。

 コフレの利用者自身も、デコレーションした手帳のページなどをSNSに投稿する人が多く、そうした投稿が認知度や売り上げの向上につながっている。2024年2月には文房具屋さん大賞2024のシール賞を受賞し、これも売り上げ増につながった。

 「細部まで考え抜かれたトータルデザインの完成度の高さやデコレーションの満足度が受賞につながったようです。『文房具屋さん大賞』は文房具の小売店も注目されていて、受賞すると『什器ごと置きたい』と要望されることがよくあります」

●今後の課題は「飽きられない工夫」

 コフレは初年度の販売目標として合計で46万冊を掲げている。現状の販売数は非公開だが、順調に推移しているようだ。一方で、さらに売り上げを伸ばしていくには、新たな形状やデザインの展開が求められるとのこと。

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