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「水をくれ!」 株主総会で“モンスター株主”はなぜ現れる? 上場企業が覚悟すべき「投資単位引き下げ」のリスク

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月19日 9時40分

「水をくれ!」 株主総会で“モンスター株主”はなぜ現れる? 上場企業が覚悟すべき「投資単位引き下げ」のリスク

モンスター株主はなぜ現れる?

 6月21日に開かれた三菱商事の株主総会にて、一部の株主が参加した見返りとして水やお土産を求めた。また別企業の株主総会では、菓子パンを求める声が上がった――という目撃談が、SNSでにわかに話題になった。

 これらは株主総会の本旨から逸脱した要求である。加えて、株主の質問は回数が限られているため、他の株主や経営陣が本来の議題に集中できなくなるリスクもある。株主として望ましい行動とは言いがたい。

 このような事象が発生してしまった一因に「投資単位の引き下げ」があると筆者は考える。政府が推進する「貯蓄から投資」の流れは、上場企業にとっては追い風に働くかもしれない。しかし、一定のリスクも伴うのだ。

●「ケーキの重量は増えない」 投資の神様はずっと否定的だった

 まず、株式分割とはどのようなものか。株式分割は企業が既存の株式を一定の割合で分割することで、株価を下げ、株式の流動性を高めることを目的として行われる。これにより、個人投資家が株式を購入しやすくなるため、株主層の拡大が期待されるといわれる。しかし、近年では、安易な株式分割が企業経営にもたらすデメリットも表面化してきた。

 米バークシャー・ハサウェイ創業者で、投資の神様との異名をもつウォーレン・バフェットは、株式分割に対して否定的なスタンスで一貫している。彼の経営するバークシャー・ハサウェイのクラスA株(議決権がある株式)については、これまで一度も分割を行ったことがない。同株式の値段は1株約66万ドル、日本円にして1億円を超える(7月19日時点)。

●一般人には手が届かない株式だからこそ……

 バフェットは、株式分割が短期的な投機を助長し、企業の実質的な価値に対する長期的な投資を阻害すると考えている。バフェットは「株式分割は一見魅力的に見えるが、それは単なる錯覚にすぎない。実際には何も変わらない」と指摘している。確かに、企業の時価総額をケーキに置き換えた時、いくら細かくカットしたとしても、ケーキ自体の重量が増えるわけではない。

 一方でバフェットは、株式分割が行われると株価が下がり、投資家の数が増えることで株式の流動性が向上することを認めている。なるほど確かに、ホールケーキよりはカットされたケーキの方が一般消費者にとっては買いやすい。

 しかし、株式の世界で考えると、一般投資家が買えるようになったとしても、その影響は短期的であり、むしろ企業の長期的な成長を阻害する恐れがあると指摘している。バフェットは「われわれは株主の質を重視している。株主数を増やすことよりも、質の高い株主を持つことが重要だ」と述べている。

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