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なぜ、ビール会社が「飲みづらいグラス」を開発したのか あえて“逆行”には意味がある

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月21日 8時5分

 7ミリ以上になると、ビールがたくさん流れきて、「ゆっくり飲めなかった」のでこれも却下。結果、味も香りもしっかり感じられて、理想とするスピードで飲めるということで、くびれのサイズは「6ミリ」に決めた。

 グラスには350ミリリットルの缶1本分がちょうど入って、飲み干すのにかかる時間は、通常のグラスに比べ3倍ほどかかるという。ビールを注いで、グラスを傾けるとどんな音がするのか。当然、「コポ、コポ、コポ」である。

 さて、飲みづらいグラスの反響はどうなのか。受付期間は7月16日~8月16日までなので、まだまだ途中であるが、18日12時時点で「1300件以上」の申し込みがあったそうだ。受付が始まって3日も経っていないのに、倍率は130倍である。社内からは「200~300個の申し込みがあったらいいよね」といった声が多かったので、この数字に担当者も驚きを隠せない様子だった。

●適正飲酒を気にしている人がじわじわ

 「ビールを飲み過ぎてしまう」「飲むスピードが速いのでなんとかしたい」――。飲みづらいグラスの申込者数を見ると、こうした悩みを抱えている人が多いように感じるが、実はその兆候は他の数字からもうかがえる。

 ヤッホー社は「正気のサタン」というビールを発売していて、この商品の特徴はアルコールが0.7%であること。お酒が強い人は酒量が減るかもしれない。お酒が弱い人にとって、適正なアルコール度数なのかもしれない。正気のサタンはこうしたニーズをうまくとらえていて、直近の出荷量を見ると、計画の130%で推移しているという。

 「ビール党というのは、キンキンに冷えたモノをグビグビ飲むものだ。男は黙って、〇〇〇〇ビール(←他社名なので自主規制)」といった人からすれば、ちょっと信じられないかもしれないが、「自分に合った量を飲みたい」「ゆっくり飲みたい」といった層はじわじわ増えているようだ。

 あえて飲みづらくしたグラスが人気となれば、記事もあえて読みにくくすれば、読者が“ゆっくりと味わってくれる”かもしれない。原稿を書きながら、そんなことをつぶやいていたら、編集部のKさんから厳しい言葉が返ってきた。

 「絶対に、読まれません!」――。

 おしまい(涙)。

(土肥義則)

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