1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

日立が「1兆円買収」した米ITトップを直撃 日本企業の“根本的課題”とは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月14日 11時42分

 「必要なのはマインドの変化です。これからは単にプロダクトを提供するだけでなく、コンピュータのリソースをソフトウェアによって制御する、ソフトウェア・ディファインドなプロダクトを提供することが求められます。従来のプロダクトを、どれだけリイノベーションできるかが重要になってくるでしょう」

 その上で、日本企業の課題を「テクノロジーの変化についていけるかどうか」だと指摘する。

 「日本企業が抱えている最大の課題は、生成AIなどのテクノロジーの変化のペースについていけるかどうかです。最近でもGPT-4の最新バージョンが出るなど、テクノロジーは急ピッチで変化を遂げ、根本的な転換点を迎えています。10年ほど前であればRPAが台頭し、ロボットが人間の動きを模倣するなど、これまでのテクノロジーはオートメーションが価値でした。それが、生成AIによってオートメーションからクリエーションに移行し、自らデータやインサイトを生み出すようになりました。今後はロボットが人間をトレーニングすることも可能になるでしょう」

 同氏は「こうしたグローバルの変化のスピードについていかなければ、日本企業は世界のビジネスでリーダーのポジションを取れない」と考えている。

 「逆に言えば、日本企業がソフトウェア・ディファインドの波に乗り、スピード感を持ってイノベーションを実現できれば、グローバルのリーダーであり続けることができると思っています」

●立て続けに5社を買収

 GlobalLogicでは2022年度から2023年度にかけて、立て続けに5社の買収を実施した。通信分野に特化したアイルランドのSideroや、組み込み系ソフトの開発に特化した米Mobiveil、モビリティ分野に知見を持つオーストラリアのKatzionなど、それぞれ得意分野やカバーするエリアが異なる企業だ。こうした買収を日立のサポートを受けながら、1社あたり8週間から12週間ほどの早いペースで進めている。その狙いを次のように明かす。

 「M&A戦略はとてもシンプルです。われわれが持っているキャパシティーや地理的な展開を考えたときに、足りない点がどこにあるのか。どういったサービスラインを強化して、どのようなエリアに拡大していきたいのか。このギャップを埋めるためにM&Aを実行しています。GlobalLogicは好調な成長を遂げていますので、単なる売り上げ拡大のためのM&Aは必要ありません。あくまでキャパシティーを拡大するためのM&Aなのです。私たちが持つケイパビリティのギャップを埋めることと、今後伸びていく業界を予測し、その業界に拡大していくことがM&A戦略の中心になっています」

 M&Aだけでなく、日立が持つ強みの中でもGlobalLogicは拡大を図っている。日立が得意とするエネルギーや鉄道、それに日立のビジネスを大きく変えているLumada事業を取り込む形で、デジタルエンジニアリングの領域を拡大している。そこに、地理的な拡大による新たなクライアントの獲得と、サービスカテゴリーの拡大を合わせることによって、GlobalLogicとして今後の成長を図っていく考えだ。

 「日立に買収される前は、GlobalLogicのメインマーケットは北米と欧州だけでした。それが現在では日立の事業のDXをお手伝いするとともに、日立が持っているグローバルな顧客に対して、私たちのサービスを提供できています。日立が得意とする分野と密に連携しながら、次の成長につなげていきたいですね」

(ジャーナリスト田中圭太郎)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください