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「半端な対策では命にかかわる」 山善の”プレミアム水冷服”がたちまち完売、現場のニーズとどう合致した?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月27日 6時20分

「半端な対策では命にかかわる」 山善の”プレミアム水冷服”がたちまち完売、現場のニーズとどう合致した?

山善の「ダイレクトクール」が好調(猛暑対策展にて編集部撮影)

 全国的に猛暑が続く中、山善が展開する水冷式の冷却服「ダイレクトクール」(価格はオープン)の売れ行きが好調だ。チューブを通して冷たい水を循環させることで身体を冷やす仕様となっており、企業からの発注も少なくないという。夏場の作業向けウェアは数多くあるが、差別化ポイントはどこにあるのか。開発に携わった、家庭機器事業部商品企画3部の俣野剛志氏に聞いた。

●冷たい水が循環、3種類を展開

 同社はダイレクトクールを2022年に発売。形状はベストに近く、肩の近くの内ポケットに入ったスイッチを押すと、張り巡らされたチューブの中を水が循環する。背中には凍らせた専用ボトル、もしくはペットボトルが入るようになっており、チューブを流れてきた水はこの部分を通ることで、継続的に冷やされるという仕組みだ。

 当初は「一般仕様」と「プロ仕様」の2種類を展開。好評を受けて2024年から加わった「プレミアム仕様」は、太い血管が通っている首元と脇下の部分にもチューブが通る仕様となっている。試着してみたところ、首筋まで含めた上半身全体にチューブがしっかりと当たり、冷たさも確かに持続するのを感じられた。

●ファン付きウェアの弱点をカバー

 同社は夏場の作業向けウェアとして、2018年から「KAZEfit」シリーズも販売している。こちらは電動ファンによって外気を取り込み、汗が乾く時の気化熱で体を冷やすという商品だ。

 しかし俣野氏によると、こうしたファン付きウェアにはいくつか弱点があるという。まず、あまりにも気温が高い環境では、熱された空気を取り込んでしまい、逆効果になってしまうという点だ。また、粉じんが舞っている環境では、ファンがこれらを服の内側に吸い込んでしまう危険もある。

 ファン付きウェアのこうしたデメリットに対応すべく広がっているのが、「水冷式」の冷却服。山善のダイレクトクールもその一つだ。

 俣野氏によれば、主に建設現場・工事現場でニーズがあったファン付きウェアに対して、ダイレクトクールは機械の放出熱がこもりがちな工場内でのニーズが大きく、「1年を通して使用する現場もある」という。また、かさばってしまうファン付きウェアとは異なり、上からハーネスを着用できる点も強みとなっている。

 粉じんを巻き込む危険のある現場でも導入されているほか、農薬を巻き込まずに散布作業が可能なことから、農家からの需要も少なからずあるという。

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