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うほっ、「ゴリラのひとつかみ」が人気 おもしろネーミングは「失敗のサンプル」から生まれた

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月28日 7時30分

 価格を抑えるためには、いろいろなところを“削って”いかなければいけない。電池は高いのでコードレスにしなかったり、両足ではなく片足のみとしたり、サイズを短くしたり。このほかにも削れるところは削っていったわけだが、サイズを短くしたことで計算に狂いが生じてしまったのだ。

 商品の構造は、内側にエアバッグを仕込んで、それを膨らませることで圧力を加えるわけだが、エアバッグが短いのですぐに空気がいっぱいになる。結果、どういった状況が生まれたのか。圧力がどんどんかかってしまうので「痛い」のだ。

 単純な計算ミスによる失敗だったので、サイズを調整して、もう一度サンプルをつくればいいわけだが、水島さんは同僚のこの言葉に注目した。「痛気持ちいい」である。

 競合の商品と勝負するにあたって、がっぷり四つの戦い方もあるが、ドウシシャはこの分野での知名度は低い。であれば同じ土俵に乗るのではなく、ちょっと違う角度で攻めるほうが効果的ではないかと考え、「痛気持ちいい」をウリにしていくことに決めた。

●商談の席で「面白い!」と言ってくれた

 次に、ネーミングである。ものすごくチカラが強いことが伝わる言葉を探していたところ、水島さんの頭の中で「ゴリラ」が浮かんだそうだ。

 調べたところ、ゴリラの握力は400~500キロほど。成人男性の握力は平均40キロほどなので、その10倍である。当初「ゴリラのわしづかみ」も浮かんだそうだが、それだと足がつぶれてしまう。消費者に恐怖感を与えてはいけないので、「ひとつかみ」を候補のひとつにした。

 会社のネーミング会議で、水島さんは5つほどの案を発表した。10人ほどが参加している中で、「大根足〇〇」「ハイパワー〇〇」などと読み上げて、最後に「ゴリラのひとつかみ」と語ったところ、1~2人が笑ってくれた。たくさんの人が笑ってくれなくても、ササる人にはササる。この商品はそうしたネーミングのほうがいいのではないかと受け止め、「これでいける!」と確信したそうだ。

 商品のコンセプトとネーミングが決まったものの、社内では「どう売っていけばいいのか」という課題にぶちあたっていた。サイズを短くしたことによって、見た目が「血圧計」のようになってしまった。しかも、商品名は「ゴリラ」である。これまで扱ったことがない商品だったので、会社の上層部も“よく分からなかった”のである。

 そして、出てきた回答は「営業担当と同行して、商品化できるだけの契約を取ってこい」である。言葉にすると、“体育会系”の雰囲気が漂ってくるが、結果はどうだったのか。

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