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セコい? 迷惑行為を防げるからOK? 訪日客激増で「二重価格」議論が過熱 失敗しない導入・運用のポイントを考える

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月29日 6時15分

 もちろん、政府や地方自治体もさまざまな対策を講じています。そして、その一つとして浮上してきたのが二重価格です。

 二重価格は一般的には訪日客向けに高い価格を設定し、国内居住者や地元客を安くすることで、国内に居住して日常利用する人の利便性を妨げないようにする取り組みです。訪日客には高い価格設定となることが多いため負担が増えますが、それがハードルとなり、利用しない人が増えることで混雑対策につながったり、ある程度のマナー違反を抑えたりする効果もあるとされ、少しずつ二重価格設定へと動き出す企業や施設例が出ています。

 しかし、この二重価格はさまざまなタイプのものが混在しているので、整理が必要です。

 そもそも見方を変えると、日本にも二重価格に近いものは存在しています。次の図にある「学生や高齢者の割引」「繁忙期と閑散期の価格差」といったものが該当します。

 定価がありつつ割引価格もあるスーパーや百貨店は、ある意味では毎日二重価格が出現しているといっても良いでしょう。二重価格自体は、さして珍しくない取り組みなのです。

 一方で、昨今話題の二重価格は訪日客と国内居住者向けに価格を分けるものです。こちらは今まで、日本ではほとんど導入されてきませんでした。

 その理由は、オーバーツーリズムが問題にならなかったからです。しかし、ここまで訪日客が増えたことで、何らかの対策をしなければ一般市民の日常生活や店舗の通常営業に支障が出るようになってしまいました。

 例えば京都市の調査は、市民は観光の重要性は認識しつつも、道路の渋滞や観光客のマナー違反といった迷惑を被っていることを指摘しています。

●価格設定のやり方一つで、イメージが大きく変わる

 渋谷にある海鮮バイキングの店では、平日ディナーの価格について、通常女性客が7678円、日本人女性および在日外国人女性であれば6578円で提供しており、二重価格を本格的に導入している店として話題になっています。

 ここでのポイントは、訪日客に提供する価格が「通常価格」であり、日本人と在日外国人の価格が「割引価格」である点です。つまり訪日客向けに高い価格を設定しているのではなく、日本に居住している人に対して利用しやすいように値引いて設定しているのです。

 訪日客向けの二重価格は、どうしても「訪日客向けに高く販売する」というイメージを持ちやすいのですが、このようにすれば、価格設定に納得しやすくなるでしょう。これが、国内居住者向けが通常価格、訪日客には割高な価格設定だとしたら、何となく「ぼったくっている」とか、「おもてなしの国なのにせこい」というイメージにつながりかねません。二重価格設定の際には、この点を押さえるのが重要です。

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