なぜ、月極駐車場に注目? ニッチすぎる存在をDXで“宝の山”に 驚きのビジネスモデルに迫る
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月30日 6時40分
EV時代のダークホース? ハッチ・ワークの取り組みに迫る(出所:ゲッティイメージズ)
二酸化炭素排出削減対策の本命である電気自動車(EV)の登場で、100年に一度の大変革期を迎えたといわれる自動車関連業界。そのダークホース的存在として注目を集めている企業があります。3月に東証グロース市場へと上場を果たしたハッチ・ワークです。
ハッチ・ワークは2000年に創業し、当初は賃貸オフィスの仲介・管理事業や貸会議室のオンライン管理・シェア化支援などを中心とした、ビルディングイノベーション事業を展開していました。現社長である増田知平氏が取締役に就任した2008年ごろから事業領域を拡大し、2010年に駐車場の管理代行をはじめとする「月極イノベーション事業」を展開。2023年12月期の決算では、20億5600万円と過去最高の売り上げを計上し、そのうち月極イノベーション事業は売り上げの54%を占める中核事業に育っています。
月極イノベーション事業は大きく分けて、利用者向けの月極駐車場検索ポータルサイトと仲介サービスをセットした「アットパーキング」と、駐車場を管理する不動産会社向けの月極駐車場オンライン支援サービス「アットパーキングクラウド」から構成されています。
アットパーキングは全国の月極駐車場のどこに空きがあるかがリアルタイムで分かり、即座にオンライン上で契約まで完結できるサービスです。アットパーキングクラウドは、本来不動産会社が行う物件情報の掲載、募集審査、契約手続、賃料回収といった管理業務の大半を、ハッチ・ワークが請け負う内容になっています。
サービスを思いついたきっかけは、増田社長の実体験にあるといいます。自身の引越で駐車場を探した際、ネット上での情報が少なかったり、空きを知らせる看板の情報が正確でなかったりと苦労したことから、月極駐車の情報に大きなニーズがあると考えたとか。さらに、月極駐車場の契約がホテル予約のようにスマホで完結できたら便利に違いない――と考えたことが、上述した2つのサービス開発につながったのでした。
●ニッチではあるが、可能性を秘めた領域
月極駐車場を巡るビジネスは、ニッチ中のニッチといえます。というのも、駐車場の土地所有者にとっては、遊休土地のつなぎ的な運用手段として駐車場にしているケースが多く、メインのビジネスとして考えられていない点が理由の一つです。管理を任された不動産会社にとっても、1件当たりの賃料が安価であり、契約や管理の手間も考えると決して「おいしいビジネス」とはいえず、常に賃貸住宅の付属的存在でした。こうした理由から、双方にとって主要ビジネスになりにくいという点が、ニッチな存在と位置付けられる理由です。
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