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ドンキ、爆発的成長の裏に「まじめにふまじめ」 AI活用、商品開発、顧客重視の社風を読み解く

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月31日 6時15分

●真面目になりすぎないことも重要

 同社の経営理念の第2条に「いつの時代も、ワクワク・ドキドキする、驚安商品がある買い場を構築する」というものがあります。一般に、経営戦略を真剣に考えるほど、そこにはレベルの高いロジックと難解な経営用語が並びがちです。また、経営戦略の議論には、社長をはじめ役員、各部門の本部長がかかわることでしょう。

 そうなると「うちはもうかるのか」「競合でうまくいっている企業はあるのか」「そのシステムにかかるコストはいくらか」といった視点になりがちです。顧客視点のワクワクやドキドキが置き去りになってしまうのです。

 もちろん崇高な戦略設計は大事です。しかし、そこにワクワク・ドキドキするような企画やデザインが備わってこそ、そうした戦略は完結するのではないでしょうか。PPIHの取り組みには経営理念以外にも、顧客を驚かせよう、分かりやすく伝えよう、楽しんでもらおうというメッセージが伝わる要素が多くあります。戦略とクリエイティブが融合しているのです。

 ドン・キホーテの売り場を眺めると、「ありえ値ぇ!」などのコピー、そして大きなカタカナの「ド」が目立つパッケージが目立ちます。ちょっと歩くだけで「世界で2番目に売れている液晶テレビブランド」や「猛暑フッ飛ぶド風量扇風機」「紅生姜は“のせる”から“かける”時代へ」など刺激的なメッセージが目に飛び込んできます。

 こうしたエンタメ性の影響か、TikTokではドン・キホーテの商品動画が多くバズっています。数百万再生のものは当たり前で、中には1000万回近く再生数が伸びているものもあるのは、生活のちょっとした不便を分かりやすく、かつインパクトのある言葉で、時には少しふざけたような愛想があるからでしょう。

 売り手側からすれば、裏側の苦労はたくさんあれど、顧客へと届けるときには、楽しさを添えることを忘れない。そのためには、社風や日々のコミュニケーションをはじめとした組織作り、斬新なアイデアを遠慮なく提案してくる外部パートナーとの関係作りが必要になります。ドン・キホーテの楽しさや、にぎやかさの裏側には、多数の戦略的ヒントが隠れているのではないでしょうか。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(佐久間俊一)

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