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味の素が「献立を提案するAI」開発 ”1万種のレシピデータ”をどう生かしたか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月2日 17時29分

味の素が「献立を提案するAI」開発 ”1万種のレシピデータ”をどう生かしたか

左から広瀬圭太郎氏(同社シニアソリューションデザイナー)、椎橋徹夫氏(Laboro.AI 代表取締役CEO)、勝美由香氏(味の素 R&B企画部 マネージャー)。記者発表会にて編集部撮影

 「ファストフードを食べ過ぎてしまった」「最近野菜を摂れていない」――誰しも身に覚えのありそうな”食生活の乱れ”に対して、AIがトータルで「ツジツマ」を合わせた献立を提案するWebサービスを、味の素が提供している。リリースからすでに4カ月経つが、同社R&B企画部マネージャーの勝美由香氏は「目標を大幅に上回るユーザー数を獲得できている」と手応えを話す。ニーズが千差万別な「献立作り」にAIを取り入れるにあたって、同社は何を重視したのだろうか。

●ニーズに合わせて献立を提案

 3月25日に味の素がリリースした「未来献立。」は、ユーザーに対し、最大で8日分の献立を提案するWebサービスだ。事前のID登録により無料で利用可能で、「野菜を多く摂りたい」「塩分を控えめにしたい」「○分以内で調理したい」といった、個々の事情に合わせた献立をユーザーに提案できる点が特徴となっている。

 同社はこれまでも、レシピサイト「AJINOMOTO PARK(味の素パーク)」を提供してきた。しかし同サイトの展開においては、「レシピを1つ検索して、離脱してしまう」といったケースも多く、消費者との接点を拾いきれていないという課題があったという。

 そこで同社は、個人のニーズを反映した献立を作成するサービスの提供を開始。料理をする人が悩みがちな「献立全体を考えるプロセス」のサポートを強化することで、レシピから1歩踏み込む形で、消費者とのつながりを深化させたい考えだ。勝美氏は、「必ずしも購買につなげるような設計にはしていませんが、そこまでできればうれしい」と話す。

●栄養バランスはあえて「崩れる前提」

 構想の検討からPoC、システム実装までを担ったのが、企業向けにAIソリューションの開発事業を展開するLaboro.AI(東京都中央区)。味の素が蓄積してきた、1万種類を超えるレシピのデータベースを生かし「献立作成エンジン」を共同開発した。

 両社が開発にあたって重視したのは、「食を楽しむ」という、いわば定性的な価値をシステムに組み込むことだったという。このため、「見た目の彩り」「品数のバランス」といった要素も言語化しながら、改善やチューニングを実施した。

 Laboro.AI シニアソリューションデザイナーの広瀬圭太郎氏は、「『いい献立とは何か』というのは言語化が難しい。両社で『こんな条件を付与したらどうか』といった議論を進めながら、システムの品質向上に取り組みました」と話す。

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