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セダンが売れる時代はもう来ないのか クルマの進化で薄れていく魅力

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月3日 10時5分

 現行モデルは燃費以外にもスタイリングや走行性能などの魅力を高めたモデルであるが、消費者がプリウスに求めるのは、十分な室内空間と安全性、それに何より燃費性能である。これは従来セダンが求められてきた要素そのものと言っていい。

 そのプリウスですら、アルファードに販売台数で負けているのだから、セダン的なクルマの需要が低いのは明らかだ。それでもコンパクトなボディでより燃費性能の高いアクアよりも売れている。セダン需要としてプリウスが支持されているのは明白であろう。

 見方を変えれば、2024年1~6月の登録台数で判断するなら、プリウス以外にセダン的要素のあるクルマはクラウン(これもSUVモデルの人気に支えられている部分が大きい)とMAZDA3くらいしか50位以内にはなく、クラウンとMAZDA3を足しても実質的なセダンモデルはプリウスより少ない。

●スポーツカーの衰退もセダンに影響

 セダンと同様に絶滅危惧種と言われているのが、スポーツカーのカテゴリーだ。本来、スポーツカーとは運転を純粋に楽しむためのクルマで、決してハイパワーである必要はなく、乗員は2人で荷物を積むスペースも最小限に抑えられている。

 それにゆったりとしたボディサイズを与え、荷物や人を乗せやすくして、高速巡行性を高めたのがGTであるが、現在ではスポーツカーとGTの区別さえ曖昧になった。それはスポーティーな車種が少ないことと、多機能を求めるがゆえの進化によるものだ。

 4ドアでもスポーツカー以上の性能を誇るクルマは存在するし、ライトウェイトで実用性も確保した5ドアハッチバックモデルは、完全にスポーツカーと同じ使い方ができる。これは現代のクルマならではの魅力とも言えるだろう。

 そんなモデルを走らせることに魅力を感じるドライバーは、今は極めて少ないだろうが、それでも国内だけで年間4万~5万台は売れているのだから、まだまだ需要はある。しかしながら環境規制への対応など、これからスポーツモデルが生き延びていくのはセダン以上に難しい。

 従来、スポーツカーユーザーが結婚して家族ができることでセダンやワゴンへと乗り換えていたものが、ミニバンやSUVへと移っているのだから、セダンはますます減少するばかりだ。救いは、やがて子どもが独立すれば、本来のクルマ好き(?)へと戻って、再び運転が楽しいスポーツモデルなどを所有するケースが多いことだ。だが、これも何もしなければ減少していくだけとなる。

 このところトヨタやマツダはクルマづくりだけでなく、クルマ好きを喜ばせ、育てようという努力を続けている。他メーカーもブランドとドライバーを密接につなげる努力をしていく必要がある。

 自動運転や電動化ばかりを追求するだけでは使い捨てのクルマ、その場限りのモビリティに成り下がってしまう可能性もあるのだ。クルマは便利なだけの乗り物ではない。セダンやクーペなど、所有し運転する楽しさを味わえるクルマを存続させなければ、自動車メーカーにも未来はない。

(高根英幸)

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