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「ビットコイン現物」ETF、日本で実現なるか? SBIが挑戦、そびえたつ障壁は

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月6日 8時5分

●業界全体が期待

 日本の金融機関も、この潮流を見逃していない。ビットコイン現物ETFの日本での実現に向けて、既存金融機関から暗号資産業界まで、大きな期待を寄せている。日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)会長を務めるビットバンクの廣末紀之社長は、ETF実現への期待を語った。

 廣末氏によると、業界はETFの実現を強く望んでいるという。その理由として、投資家にとってのアクセスの容易さを挙げた。「証券口座を通じて簡単に取引できるようになれば、より多くの投資家がビットコインに投資しやすくなる」と廣末氏は説明する。

 さらに、ETFの実現により、これまで規制上の制約から現物ビットコインを保有できなかった機関投資家も、ETFを通じて暗号資産市場に参入できるようになる。「これにより市場の厚みが増し、暗号資産業界全体の成長につながる可能性がある」と廣末氏は期待を示す。

 しかし、ETF実現への道のりは平たんではない。廣末氏は、証券会社、資産運用会社、信託銀行、暗号資産取引所など、多くの関係者が関わる中で、各者の立場や目的の違いがあることを指摘する。「大きな方向性では皆が賛成しているが、具体的な実現方法となると、それぞれの立場で意見が分かれている」と、複雑な状況だ。

●ビットコイン現物ETF実現への道のり、克服すべき課題とは

 廣末氏は、ビットコイン現物ETFの実現に向けて主要な課題として以下の点を挙げた。

 第一に、税制の問題だ。現状では、現物ビットコインとETFの税率に大きな差が生じる可能性がある。「現物ビットコインが総合課税で最大55%の税率なのに対し、ETFが分離課税で20%になると、大きな差が出てしまう」と廣末氏は懸念する。

 第二に、適切なベンチマークの不在だ。「日本円建てのビットコインインデックスは現時点で存在していない」と廣末氏は指摘する。ETFの運用には信頼できるベンチマークが不可欠だが、それが整備されていないことが大きな障壁だ。

 第三に、カストディ(保管管理)の問題がある。「大量のビットコインを保管管理し、売買実行できるインフラの整備が必要」だと廣末氏は述べる。何度も流出事故を繰り返してきた業界だけに、カストディの問題がクリアできなければ、ETFならば安心というわけにはいかない。セキュリティと運用の効率性を両立させる体制の構築が求められている。

 法制度上の課題もある。現行の投資信託法では、ビットコインを含む暗号資産は投資信託の運用対象である「特定資産」から除外されている。このため、法改正なしにはビットコイン現物ETFの組成が困難な状況だ。

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