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「バスに乗らないバスガイド」が活躍 HIS沖縄、人手不足をどう解消?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月20日 9時0分

 エイチ・アイ・エス沖縄が使用するリモートバスガイドシステムの開発は2023年10月にさかのぼる。同社がIT企業のokicom(沖縄県宜野湾市)にバスガイド不足について話したことがきっかけとなり、県の「観光事業者労働生産性向上支援事業補助事業」を活用して開発に至った。

 モニターは自由に取り外し・取り付けが可能か、エイチ・アイ・エス沖縄の社員が使いこなせるか、ネット回線は安定しているかなどの条件をディスカッションしながら完成させた。2024年3~4月で試験的に運用し、5月から先述のシャトルバスで展開している。

●バスガイドの取り合い どう対応してきた?

 リモートバスガイドはバスガイド不足を救う大きな一歩だが、エイチ・アイ・エス沖縄はこれ以前からバスガイド不足への対策を社内で講じてきた。

 コロナ禍による退職や高齢化に伴う離職でバスガイドの数が減少し、取り合いが起こっている。関氏は若手のバスガイドもいるが、続かないケースも少なくないと話す。ベテランが多く、今からバスガイドを志す人も減っているという。

 また、関氏は日本特有のツアー事情を交えながら、こう説明する。

 「日本では、添乗員さんとバスガイドさんという役割がはっきり分かれている場合が多いです。前者はタイムスケジュールなどの旅程管理がメインです。後者は添乗員さんが不在の場合は旅程管理もしますが、主には観光案内などのエンターテインメントを提供する役割です。『わたしは添乗員なのでガイドはしません』『わたしはツアーガイドなのでこれはしません』という考えの方もいらっしゃって、対応に差がありました」

 そこでエイチ・アイ・エス沖縄が取り組んだのが、社内でのスタッフ教育だった。社員の適性を見ながら、2019年にトレーニングを開始。2020年1月から実際にスタッフがバスガイドとして搭乗するようになり、好評を博した。

 徐々に慣れたタイミングの2020年3月から新型コロナウイルスが本格化し、旅行業界は大きなダメージを受けた。同社も例外ではなかったものの、地元企業と連携したオンラインツアーなどを企画し、再び日が昇るのを待った。

 「オンラインツアーの企画・運営を通して、さまざまな新しいことに取り組みました。ツアー用の動画を撮影したり、編集したり、スライドを作成したりですね。その経験の中で『今後、ガイドが足りなくなったときにこういったオンラインの時代が来るんじゃないかな』と思ったんです。その後にリモートバスガイドシステムを開発してくださった、オキコムさんと出会い、今につながっています」と関氏は振り返る。

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