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約9割の社員が「ストレスを感じている」 会社はどう対応すればいいのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月9日 8時0分

【意義・目的への腹落ち】

 まずは、現場は納得できる理由や意義がないと、思考や行動を簡単には変えない。「また上が勝手にやっている」という受け取り方をされないように、なぜメンタルヘルスやエンゲージメントに関する取り組みが優先度が高いのか、どれだけトップもコミットしているのか、と経営陣からの一貫したメッセージが必要だ。

【ロールモデルの構築】

 ストーリーにとどまらず、実際に経営陣や上司や同僚が取り組む姿を見せることも重要だ。特に、経営陣はストレス環境に強い、メンタルが強い人たちと思われがちである。そういった方たちのキャリアの中での困難をどう乗り越えてきたかという話は、社員の心に強く響くだろう。

【ツール・仕組みの整備】

 実践の意味では、効果的な仕組み作りが欠かせない。定期的なコンディションのチェックやストレスマネジメント研修、相談窓口の設置、復職者ケアのプロセスづくりなどが必要だ。これにより、社員はいつでもサポートを受けられる環境が整う。もし労働時間や特定の人間関係が不調者発生の起因であるなら、それらへの抜本的な対策を取ることも必要だろう。

【スキルと人材の開発】

 人事労務担当だけでなく、管理職は部下のケアや不調のサインを見抜くスキルをつけることも求められる。また、管理職だけでなく社員個人のストレス対処力を向上させるためのトレーニングも有効手段の1つだ。

 ある企業では、トップがコミットし、これらの総合的な打ち手の実践により、1年でメンタル不調による休職者が半減する結果につながっている。

●社員のレジリエンス向上により根本的な対策を

 ストレスに対する精神的な回復力を指す、レジリエンス。先天的な要素もあるが、実は後天的に伸ばすことができる能力だ。能力を伸ばすには、スキルを付けることが必要だ。

 レジリエンスにつながるストレス対処力には、大きく分けると「ストレスに向き合う」「ストレスから距離を取る」の2種類がある。バランスよく取り入れる引き出しを持っておくことで対処力が向上する。

 例えば前者は、課題を特定し、解決に向けて計画を立てるスキル、ものごとを建設的に見る視点や周りに相談するというスキル。後者は変えようのないことに固執せず前向きに諦めたり、うまく気分転換を取り入れ負の感情を発散するスキルだ。

 適切な対処を選び、繰り返すことでストレス対処力が向上していく。ストレス対処力がつくと、自分で抱え込まずにキャリア上の困難とうまく付き合うことができ、自己肯定感もあがる。実際、メンタルケアの支援を受けた人からは「ミスをしても、自分はダメだと落ち込むのではなく、要因分析をして次はここを改善しようと前向きに思えるようになった」といった話をよく聞く。

 人事担当者の方は、ぜひ経営陣を巻き込もう。経営者の方は、全社的な取り組みとしてぜひ旗を振っていただきたい。メンタルヘルスとエンゲージメントの向上は、企業の持続的な成長に不可欠な要素だ。社員一人ひとりがイキイキと働ける環境を整えることで、企業全体の生産性とエンゲージメントが向上し、最終的には企業の競争力を高めることができるだろう。

 健康経営の目標は、「労働生産性の向上」「人材定着、望まない離職の低減」「従業員満足度及びワークエンゲイジメントの向上」だ。社員の健康を通して企業の成長につながる戦略的な対策を実践していこう。

(芳賀彩花、booost health株式会社 Founder & CEO)

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