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成田空港と都心を結ぶ新構想  「押上~泉岳寺短絡線」はどうなる?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月10日 7時0分

 コロナ禍前の2019年に国土交通省鉄道局が需要を予測したところ、2030年までにスカイライナー、成田エクスプレスともに一部の時間帯で満席状態になり、2030年代半ばには需要超過による乗り越しが発生する。乗車率100%超えという記述もあるけれど、全車指定席を維持すると100%を超えられないので、各駅停車や快速、アクセス特急など特別料金不要の列車が混むことになる。

 すでに成田空港駅、空港第2ビル駅ともにコンコースの混雑が発生しがちであり、その理由はコンコースやプラットホームなど設備が手狭であること、乗客の手荷物が大きいこと、運行本数が少ないこと、ジャパンレールバスの引き換えで列ができることなどだ。この混雑は列車の遅れにも影響するが、これらはワンターミナル駅では広い空間として解決できるだろう。ただし、駅を改善しても増発は難しい。成田空港鉄道が単線だからだ。

 成田国際空港に至る鉄道は、複線の線路になっているけれども、実態は京成電鉄とJR東日本が1本ずつ使っている。つまり単線が2つ並んでいる。それぞれすれ違い用の信号場を1つずつ持っており、なんとか運行本数を増やしているけれども、これ以上は列車を増やせない。関西空港に乗り入れている鉄道は、JR西日本と南海電鉄が相互直通の形を取っており、どこでもすれ違いが可能になっている。しかし成田国際空港の線路はJR東日本が在来線の軌間、京成電鉄は新幹線と同じ軌間になっている。相互直通してすれ違い、というわけにはいかない。

●そこは成田新幹線の遺産だった

 もともとこの線路は成田新幹線の用地だった。しかし計画が頓挫して、路盤や空港駅の地下が使われないままだった。それを見かねて、1988年当時に運輸大臣だった石原慎太郎氏の要請で在来線転用が決まった。整備に当たって、JR東日本、京成電鉄、NAAが出資する「成田空港高速鉄道」が設立され、線路を1本ずつ使う形になった。空港内の駅はNAAが空港設備として建設している。

 京成電鉄はもっと複雑だ。京成電鉄は独自に空港ターミナルビルに乗り入れようと計画したけれども、成田新幹線計画があったためかなわず、ビルの手前の現在位置に成田空港駅(現・東成田駅)をつくり、バスでターミナルビルに連絡した。成田空港高速鉄道の完成後はターミナルビルに乗り入れた。その後、京成電鉄は北総鉄道経由の成田スカイアクセス線を開業し、京成電鉄側の線路と駅を使って空港第2ビルに乗り入れた。

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