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「令和の大暴落」引き起こした日本銀行の“口下手”さ 市場変動の中、企業はどうすべき?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月4日 7時5分

●FRBはコミュニケーション上手?

 市場とのコミュニケーションにおいて、FRBは透明性と一貫性の点で一歩進んでいるといって良い。特に、FOMC(連邦公開市場委員会)の声明や議事録を定期的に公表し、政策決定の背景や将来の見通しを詳細に説明している点が注目される。

 ちまたでは「FOMC議事録にどのような単語が何回登場したか」といった定量的な分析や、パウエル議長の表情からFRBがマーケットをどのように見ているのか、そしてこの先の金融政策をどのように考えているかを推測するといった動きもあり、迂闊(かつ)な表現は批判されてきたという経緯がある。パウエル議長は、2020年のCOVID-19パンデミック時には「経済が完全に回復するまで、金融支援を継続する」との発言で市場に安心感を与えたスピーチなどが有名だ。

 イエレン前議長も「低金利政策を少なくとも失業率が6.5%を下回るまでは維持する」といった経済指標に基づいた具体的な数値を用いたガイダンスを行い、市場参加者はそれを目安に金融政策の方向性を確認することができた。

 一方で日銀の政策への反応として、市場はしばしば混乱と不安定に見舞われる。市場参加者は日銀の政策意図を理解しがたく、結果として急激な市場変動が発生する。

 これは黒田総裁の時代にも見られた。2016年1月18日の参院予算委員会ではさらなる金利の引き下げを検討していないと発言したにもかかわらず、11日後の1月29日にマイナス金利付きの金融緩和政策に舵を切り、市場を混乱させた。

 2022年12月にも、何の前触れもなく長期国債のイールドカーブコントロールを0.25%から0.5%に引き上げる“事実上の利上げ”を行い、ここでも黒田日銀のサプライズ癖が市場を混乱させた。

 このように、日銀はここ10年ほどは市場との対話よりもサプライズやリークといった一風変わった方法で金融政策を取り続けている。今回はそのゆがみが大きく出てしまったと捉えられる。

 日銀はFRBにならって、一貫したフォワードガイダンスを提供し、政策の予測可能性を向上させることが求められる。失業率や新たなインフレ率の目標を明確にし、その達成状況に基づいた政策変更を行うことが重要であるだろう。

 そして、市場参加者の反応を政策決定に反映させるための双方向コミュニケーションを強化する必要がある。これは答弁をできるだけ細かく・長くするというものではない。中央銀行の発言は市場に大きな影響を与えるため、言葉選びに細心の注意を払うべきであることを考えると、簡潔に多様な解釈の余地がないように答弁をすべきではないだろうか。

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