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なぜクルマのコーティングが人気なのか ユーザー心理を利用する術

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月16日 8時30分

 その後、従来は板金塗装業者が行っていたボディ塗装の表面を研磨する作業を専門に行い、水アカや磨き傷などを除去した平滑な塗膜にポリマーコーティングを施すサービスが普及していった。こうして日本型のカーディテイリングビジネスは1980年代あたりから徐々に拡大、充実化の様相を見せていくのだ。

 カーディテイリングサービスといっても、実際はかなり広範囲にわたる。洗車やコーティングのサービスだけでなく、その材料や道具を扱う業者も増え、プロシューマーからコンシューマー向けの商品までその充実ぶりはすさまじい。

 カー用品店やホームセンターで手軽に手に入る洗車用品も豊富だが、それでは飽き足らず、洗車用品の専門サイトや通販サイトでこだわりの洗車用品を購入するマニアも少なくない。カーラッピングやプロテクションフィルム、ホイールや内装のリペア、ウインドーフィルムにウインドーのリペア、広義では板金塗装もカーディテイリングビジネスに含まれる。

 洗車だけに絞って見た場合、ユーザー側の環境の変化も大きく影響している。共働きの増加による余暇時間の減少やインターネット、SNS、スマホゲームの拡大など余暇の過ごし方にも変化が生じ、1日洗車に費やすほど暇ではなくなってきている。

●コーティング技術も進化

 コーティング技術の向上もカーディテイリング業界を大きく成長させた要素だ。当初導入されていたポリマーコーティングからガラス系やセラミック系のより硬い被膜を形成できるコーティングへと進化していった。

 ポリマーコーティングでは下地を仕上げてから、コーティング剤を塗布し、さらに回転式のポリッシャーで磨きながら加熱することで被膜を作り上げる職人技が必要とされた。だが、ガラス系のコーティングでは塗布するだけで硬化し、強固な被膜が出来上がる。

 ということは、職人技など無用になったと思われるかもしれないが、そうした高硬度のコーティング被膜を形成できる材料を扱うためには、均一に塗布する技術だけでなく、塗装面を磨いて下地を仕上げる技術なども必要。やはり高い技術が求められるのだ。

 それだけに、全体の費用に占める技術料の割合が高くなりがちだ。材料の原価はそれほど高くなく、収益性が高いから、ガソリンスタンドや専門店、中古車販売店、新車ディーラーまで、こぞって導入しているのである。

 ユーザーにとってはボディの光沢感や撥水効果が長期間保たれるだけでなく、長期的な保証も備わる(ただし定期的なメンテナンスを受けることが条件である場合が多い)ので、高価であっても納得できる安心のサービスとして確立されつつある。

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