Amazonファーマシー体験レポート その仕組みと収益モデルは?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月10日 7時0分
このサービスを利用するには電子処方箋が必須です。筆者は2022年に医療機関で診察を受けた後に紙の処方箋を郵送し、オンライン服薬指導を受けて、医療用医薬品をコンビニで受け取る体験をしたことがあります。
この際には服薬指導を受けてからコンビニで薬を受け取る状態になるまで8日かかりました。薬局への処方箋の郵送がボトルネックになったのです。処方箋を普通郵便で郵送して届くまでに曜日などが好条件であれば最短1日、即日発送できれば2日後にはコンビニに届く可能性がありましたが、それでも処方箋を郵送して2日後です。
オンライン服薬指導を現実的な手間で利用するためには、電子処方箋が欠かせません。2022年秋に日本での「Amazon Pharmacy」展開を大手チェーンに声掛けしているというメディア報道があった後に、サービス開始まで2年かかったのは、電子処方箋普及に国が本気で取り組むのを待っていた可能性があります。
さて、サービスを利用するには、医療機関で診察時に電子処方箋の発行を受けるか、Amazonアプリ、または提携するメドレー社の総合医療アプリ「CLINICS」アプリでオンライン診療を受けて電子処方箋のデータを取得する必要があります。
その後、Amazonショッピングアプリから登録薬局を選び、オンラインで薬剤師による服薬指導を受けます。処方薬は自宅への配送か、薬局店舗での受け取りを選択できます。
服薬指導を受けられる対象店舗は、サービス開始時点でウエルシアホールディングス、アインホールディングス、クオールホールディングスなど、約2500店舗となっています。
●価格と収益モデル
保険調剤にかかる費用は通常の薬局と同じく、国が定めた価格です。薬局もAmazonも配送による利益は国から得られないので、配送料は発送する薬局の負担になります。したがって薬局ごとに金額を患者に請求することになります。普及が進むにつれて送料を安くするなどして処方箋獲得を狙う薬局が増えてくるでしょう。
一方、薬局がAmazonに支払う初期費用や月額定期費用はありません。売り上げに応じて手数料を受け取るモデルです。人づてに薬局からAmazonへの支払いは1件600円前後という話を耳にしたことがあります。
薬局から見ると、オンラインからの集客をAmazonに任せて、処方箋が来るごとに手数料を払うモデルに見えます。そして、他のオンライン服薬指導プラットフォームよりも集客力がありそうに見えます。
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