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PayPayはなぜ「デジタル給与払い」に参入したのか メリットとデメリットを分析

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月22日 8時35分

●将来へのロードマップ

 他方、スポットワーク労働者に向けた即日払いや週払いの実現には、ハードルもある。最大の障壁はPayPay給与払いが従来の銀行振込の仕組みを利用している点だ。PayPay給与受取の利用者は、PayPay銀行のバーチャル口座が割り当てられ、企業が給与の一部をこのバーチャル口座に銀行振込で入金すると、自動的にPayPayの残高にチャージされる仕組みになっている。

 銀行振込の仕組みを使うことで企業内のシステムとPayPayをつなぐ開発が不要になるという利点がある一方で、企業からすればこれは銀行振込と変わらず、即時払いや週払いの実現を難しくしている。PayPayはこの課題に対し、PayPay銀行からの振込なら手数料無料という施策を打ち出した。しかし、これだけでは根本的な解決には至らない。

 真の意味でのリアルタイム給与支払いを実現するには、より直接的なシステム連携が必要だ。具体的には、企業の給与システムとPayPayのシステムをAPIで直接連携させることが考えられるが、容易なことではない。

 さらに、PayPay以外のデジタル決済サービスも同様のサービスを開始した場合、企業は複数のシステムに対応する必要が出てくる。この問題を解決するには、業界全体で標準的なAPIを策定するなど、より広範な取り組みが求められるだろう。

 PayPayのデジタル給与払いは、こうした大きな変革の第一歩だ。現状では銀行振込の仕組みを利用するという制約はあるものの、この取り組みが契機となって、給与支払いのあり方や労働市場全体に新たな可能性が開かれることが期待される。

(斎藤健二)

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