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なぜ、スシローは「デジタル」な寿司を回すのか くら寿司はエンタメ性の高い店舗にこだわり 戦略の違いを考察する

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月24日 6時15分

なぜ、スシローは「デジタル」な寿司を回すのか くら寿司はエンタメ性の高い店舗にこだわり 戦略の違いを考察する

スシローとくら寿司、意外と多い両者の違いとは(出所:ゲッティイメージズ)

 郊外型回転寿司チェーンとして知られるくら寿司とスシロー。くら寿司は回転レーンで寿司を流す“リアル回転寿司”にこだわる一方、スシローは迷惑動画事件以降、商品を流すのを取りやめている。その他、インバウンド受けを狙う凝った内装や子ども向けのコラボ企画など、エンターテイメント性を訴求するくら寿司に対し、スシローは寿司ネタにこだわる施策を行うなど、両者の違いは多い。今回は、近年の戦略の違いをまとめていく。

●リアルのくら、バーチャルのスシロー

 2023年に発生したスシローの迷惑動画事件は、回転寿司業界に衝撃を与えた。男性客が醤油差しの注ぎ口を舐める動画がSNSで拡散し、一時的に客足が遠のいてしまったのである。同事件以降、各社は回転レーンで寿司を流すのを取りやめ、注文品に限るようになった。しかし、くら寿司は回転レーンで商品を流すことを継続しており、大手チェーンでは唯一となっている。

 同社の調査では、全体の半分以上、20代では65%以上がレーンに寿司が流れるリアル回転寿司を希望する結果が得られており、楽しさやエンタメ性を求める意見があったという。この調査結果を裏付けとし、エンタメ性のためにリアル回転寿司を継続している。後述するが、くら寿司はコラボ企画など子ども受けを狙った施策も多いのが特徴である。

 一方、スシローは事件以降にタッチパネルでの注文へシフト。直接座席に届く「オートウェイター」の導入も進めている。鉄道駅のように配膳レーンから各席に分岐するレーンを設置しており、席の目の前で商品が止まる仕様になっている。利用者からすると、焦って取らなくて良いメリットがある。

 スシローでは、席の横幅いっぱいに広がる大型ディスプレイ「デジロー」の導入も進めている。画面上で回転寿司を再現し、寿司のイラストが実際の回転レーン上を動くように流れていくのが特徴だ。利用者がイラストをタッチすれば、その寿司を注文できる。寿司ネタのランダム性や手に取る楽しさを画面で再現した取り組みといえる。2023年9月のトライアル導入以降、リニューアル店を中心に月4店舗ほどのペースでデジローを導入している。

●エンタメも交えてファミリー狙いのくら、本格高級志向のスシロー

 リアル回転寿司にこだわるくら寿司は子ども受けを狙い、ファミリー層をターゲットにした施策が目立つ。各テーブルに設置する「ビッくらポン!」は5皿に1回、景品が当たるチャンスが得られるゲームで、休日は子どもが楽しんでいるのをよく見かける。各アニメとのコラボ企画も随時実施しており、コロナ禍で実施した『鬼滅の刃』とのコラボは映画の大ヒットとも相まって業績をけん引した。

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