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チョコザップのステマ問題、消費者庁が措置命令――「広告」と明示してもファンに愛されるには

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月27日 10時35分

3. ユーザー生成コンテンツ(UGC)の活用

 企業主導の広告ではなく、実際に製品を使用した消費者によるリアルな体験談やレビューを活用する。これにより、消費者は企業からの一方的な情報提供ではなく、同じ立場にある他の消費者からのフィードバックを信頼できる。これは、口コミ効果を最大限に活用する方法である。

4. インセンティブの透明化

 消費者に対して、なぜインフルエンサーがその製品を推薦しているのか、どのようなインセンティブがあるのかを明示する。消費者に透明性を提供することで、信頼を築ける。

●宣伝効果を「消費者との信頼関係」で測る時代へ

 これらのアプローチを実行するためには、企業内における意識改革が必要である。企業の広告活動はしばしば広告効果を最大化することが最優先され、消費者との信頼関係は二の次とされてしまう。

 しかし、ステマへの目が厳しくなる今の時代、企業は消費者との長期的な信頼関係を重視する方向にシフトする必要がある。

 インフルエンサーとの契約においても、単発の宣伝活動ではなく、長期的な関係を築くことで、インフルエンサーが自然な形で製品を推薦する機会を増やせる。また、企業は消費者からのフィードバックを積極的に取り入れ、その声を反映させた製品開発やマーケティング戦略を構築することで、信頼を深めることもできるだろう。

 ステマを防止し消費者との信頼関係を構築するためには、透明性を保ちながらも消費者が求める本物の情報を提供することが鍵となる。その取り組みが企業の長期的な成長とブランド価値の向上につながるのだ。

 チョコザップが指摘されたステマ問題は、単なる広告表示の不透明性にとどまらず、企業と消費者との信頼関係の再定義を促す契機となった。

 ガイドラインを守ることはもちろん重要であるが、企業が取るべき本質的なアプローチは、消費者に対して誠実であり続けることである。口コミやインフルエンサーの推薦が持つ力を正しく理解し、消費者に対して真実を伝えることで、企業は長期的に信頼される存在となるだろう。企業はステマを防止し、消費者との信頼関係を強化するための新たなアプローチを模索する必要がある。

 消費者は単なる広告ではなく、本物の情報を求めている。企業がその期待に応えることで、より強固なブランド価値を築けるだろう。

●金森努(かなもり・つとむ)

有限会社金森マーケティング事務所 マーケティングコンサルタント・講師

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