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誰が牛丼チェーンの王者になるのか? 飽和状態の「牛丼御三家」 三者三様の取り組みに迫る

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月30日 6時15分

 一方、すき家はもともとトッピングの種類が豊富なためか、松屋のように他業態店のメニューを追加するような動きは見られない。「ダブルニンニク牛丼」のように重めなものや、サッパリとした「おろしポン酢牛丼」もあり、バラエティーは豊かだ。郊外立地という点もあるが、豊富なトッピングもあって、他チェーンと比較してファミリー層や女性客を取り込んできたとされる。

  店舗面では、券売機とセルフ式で店舗の効率化を進めてきた松屋に対し、すき家は各席にタブレットを設置しつつも、セルフ式店舗の展開は進めてこなかった。券売機を避けてきたのは、テーブル席でメニューを見ながら楽しむファミリー層を考慮してのことだ。

 そんなすき家でも、最近は券売機を導入した「セルフサービス店」を増やしている。都内を中心に展開が進んでおり、八丁堀や神保町などオフィス街の店舗が目立つ。都心では効率化の動きが避けられなかったのだろう。SNSで“ディストピア容器”と評された持ち帰り容器での提供は、主にこのセルフ式店舗で行っているようだ。

 得意とする郊外ではドライブスルー店を増やしている。ドライブスルー店舗は2004年にスタートし、8月23日現在では全店舗の約半数である975店舗にのぼる。新店情報を見ると、郊外店にはドライブスルー機能が付いていることから、もはやスタンダードになっているとみられる。

●今後は各社から突飛なメニューの誕生も?

 以上のように牛丼御三家の各施策を見ると、料理に関して目立つのは松屋だ。宣伝効果も期待しているのか海外料理を持ち込むほか、複合店により1店舗当たりのメニュー数を増やしている。すき家は毎年恒例のうな丼と豊富なトッピングを訴求する。吉野家は女性客を取り込もうとしているが、メインの男性客をつなぎとめるためか、から揚げで勝負している。

 店舗に関しては松屋がいちはやくセルフ式を展開し、すき家、吉野家(C&C店)が追随する動きがある。人手不足や原材料費の高騰で効率化は避けられないのだろう。ファミリー層をターゲットとするすき家でも、都心はセルフ式へのシフトが進む。最終的に都心部での店舗は3社とも同じような形に収束していくと筆者は考えている。

 店舗形態が同じであれば料理で差別化を図るしかない。から揚げ、トッピング&うなぎ、外国料理&とんかつと現時点で既に別路線を歩む3社だが、差別化競争の中で今後、より突飛な組み合わせのメニューが生まれてくるかもしれない。

●著者プロフィール:山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。

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