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海外売上比率7割の「ぺんてる」に聞く、ボールペン「エナージェル」が14億本も売れた秘密

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月30日 7時10分

 機能性の高さに加え、ぺんてるが各国で進める地道な販促活動も売り上げ増に貢献している。

 「現地の販売会社や代理店と協力して、現地の人の目線でターゲットを見極めて販促活動を実施しています。例えば、エナージェルは学生からビジネスパーソンまでの幅広い層がターゲットです。米国では各州の大学で1人ずつアンバサダーを見つけて、その方に商品をサンプリングして大学内への普及を推進しています」

●人気上昇中の「アート」向け製品

 近年は、アートや装飾に適したペン製品もグローバルでの売り上げ増に貢献しているという。

 「欧米などでモダンカリグラフィーや日記などの装飾が流行していて、女性層から表現性が高いペン製品の人気が高まっています」

 モダンカリグラフィーとは、文字を美しく手書きする「カリグラフィー」を、より個性豊かで自由に表現したものを指す。

 売れ筋の1つが、1963年に誕生したロングセラーのサインペンに筆のタッチ感をプラスした「筆touch サインペン」(日本での希望小売価格は1本165円、または220円)だ。ペン先に強弱をつけることで線の太さを調整できる点や36色の多色展開が、まさにアートや装飾に最適なのだという。

 2023年8月に発売した新開発のマットカラーボールペン「マットホップ」(同220円)も、グローバルで好調だ。ぺんてるの独自技術を用いて光沢感のないマットな筆跡と濃く鮮やかな発色を実現。写真やマスキングテープなどの上に書いても、ハッキリと色が映える。

 日本でも写真のデコレーションなどの用途で若年女性から人気を得ており、「文房具屋さん大賞2024」で大賞を受賞。SNSでの投稿も盛んで、そうした日本での反響が海外にも波及してグローバルで人気が上昇しているそうだ。

 アート向け製品の好調は、ぺんてる以外の文具メーカーでも見られている。例えば、三菱鉛筆のロングセラー商品「ポスカ」は、アート作品との相性の良さで欧州を中心に売り上げを伸ばしている。

●アートを普及する活動も本格化

 ぺんてるでは、こうした世界的なアートの流行の流れを汲(く)んで、製品の垣根を越えて書く・描くことそのものの価値を広めていく活動「Pentel Arts(ぺんてるアーツ)」にも取り組んでいる。

 さらに、大人のための「アートクレヨン」(8色セット)を新たに開発し、2023年11月~2024年2月までクラウドファンディングを実施。画家・柴崎春通(しばさき はるみち)氏の監修のもと、クレヨンの手軽さを備えながら油絵のような表現力を実現した。同製品は利用者からも反響が良く、2024年秋以降に一般発売を検討するとしている。海外市場での販売も視野に入れるという。

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