不快な汗がドロンする? グンゼの「アセドロン」累計85万枚を突破 「ベタつき」解消で大ヒット
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月31日 6時10分
グンゼの「アセドロン」が人気
グンゼが2024年3月に発売した新ブランド「アセドロン」が好調だ。発売からわずか半年で85万枚を販売するなど、物価高騰の中でも売り上げを伸ばしている。
背景には夏のインナーウェアに対する消費者が抱えていた不満に加え、ブランディング戦略も成功要因として挙げられる。商品企画を担当した藤本和彦さんとマーケティング担当の日和崇さんに話を聞いた。
●汗の「不快感」解消に特化
アセドロンの開発は、消費者の潜在的なニーズを掘り起こすところから始まった。グンゼはこれまでも季節ごとのインナーウェアを展開してきたが、近年の猛暑日の増加など、市場環境の変化を感じ取っていた。そこで改めて消費者調査を実施したところ、予想外の結果が得られた。
調査によると、夏用インナーウェアの利用率は72.3%と高いものの、満足度は41.9%にとどまっていた。多くのブランドからさまざまな商品が展開されているにもかかわらず、消費者の満足度は予想以上に低い状況が明らかになった。
また、不快感の最大の原因が「汗」であることも判明し、衣服内の汗に関連した不快感が根本的に解決できていないという課題が見えた。
●珪藻土からヒントを得た独自構造を採用
そこで、グンゼは汗による不快感の解消に特化した商品開発に着手。まずは消費者の生の声を拾うためのリサーチに注力した。
「従来の調査方法では消費者の本当のニーズを捉えきれていなかった。既存商品のレビューを分析したところ、『ベタつき』への不満が多く見られた」と日和さんは説明する。この分析により、市場が求める方向性が見えた。
ベタつきの解消を目指して開発を進める中で着目したのが、吸水性に優れる珪藻土(けいそうど)だ。「汗をしっかり吸って拡散させ、ベタつきを残さないというイメージにぴったりだったのが珪藻土のバスマットだった」(藤本さん)
当初、珪藻土を直接商品に練り込むことを試みたが、期待した効果は得られなかった。その後、サプライヤーとも協力しながら新たなアプローチを模索した結果、珪藻土そのものを使用するのではなく、その構造を模倣して開発することにした。
開発した生地は吸湿性が高く滑らかなレーヨンとドライ感の強いポリエステルの混紡(質の違う繊維を混ぜること)により、サラッとした触感が持続するのが特徴だ。糸の芯部のレーヨンに吸放湿性(空気中の水蒸気を収着・放出すること)を高める物質を結合させた。
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