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「ファン付き」マットレス!? “空調服”メーカーの寝具がじわじわ売れている 開発経緯を聞いた

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月7日 8時0分

「ファン付き」マットレス!? “空調服”メーカーの寝具がじわじわ売れている 開発経緯を聞いた

空調服が手掛ける寝具「風眠」が注目を集めている(提供:ゲッティイメージズ)

 空調服(東京都板橋区)が手掛ける寝具「風眠」(メーカー希望小売価格2万900円)が注目を集めている。会社名にもなった同社の主力商品「空調服」の仕組みを応用した寝具は、どういった狙いから生まれたのか。同社に話を聞いた。

 風眠はマットレスのような見た目で、大きさは約92(横)×約200(縦)センチのシングルベッドサイズ。本体重量は約2キロで、女性が1人でも持てる軽量設計とした。冬など使用しない時は、丸めて収納袋に入れればコンパクトになる。

 風眠のカバー内部には、プラスチック製のスーパースペーサーという部品が搭載され、空気が流れる隙間が確保されている。使い方は、まずツインファンを搭載した筒が足元に来るようにベッドに敷き、その上から専用のシーツを被せる。コントローラーのスイッチを入れれば、ツインファンが頭側から空気を取り込み、スーパースペーサーを通って、熱や湿気を足側から排出する仕組みだ。

 寝ている時、人間の体は背中や側面が常にベッドに触れている。最初は冷たく感じても、徐々に自分の体温であたたまってしまう。そこで風眠で常に風を循環させ続けることで熱を放出でき、寝苦しさを感じにくくなるという仕組みだ。風眠の上には専用のシーツを敷いているので、流れる風が体に直接当たることはない。

 風量はスライドスイッチによる無段階調整が可能で、体調や室温に合わせて調節できる。風が流れる時間を設定するタイマー機能もあり、2時間、4時間、8時間、10時間の4パターンを用意した。省エネ設計で1日8時間、毎日使用しても1カ月の電気代は約35円と、昨今の電気代高騰にも対応している。

 気になるのはツインファンの音だが、ファンに使用するモーターは振動を軽減した設計で、静音性を高めた。実際に使用している人からは「子どもも使っているが気にせず寝られる」「ファンは足元にあり、音も扇風機レベルなので睡眠の妨げにならない」との声が聞かれた。

●発想の転換で生まれた風眠

 同社の市ヶ谷弘司会長によると、風眠の開発に着手したのは1996年の夏ごろだったという。開発当時はベッドの表面にゴムをレール状に取り付けて隙間を作り、上からメッシュ素材を被せて空気を送るというようなものだった。開発担当の胡桃澤武雄取締役は「もちろん課題や調整すべき点も多かったですが、実際に寝てみるとそれまでの寝苦しさを感じず最高でした」と振り返る。

 だが、その後の開発は一度ストップすることになる。同時並行で後に主力商品となる空調服の開発を進めていたため、そちらに時間をとられてしまったそうだ。「当時の技術では風眠を形にすることが難しく、商品化が見えていた空調服を先行させました」(市ヶ谷氏)

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