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GACKTと「美食ブランド」でコラボ 根室の水産会社が「3K職場」を変える

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月7日 10時30分

GACKTと「美食ブランド」でコラボ 根室の水産会社が「3K職場」を変える

北海道・根室の水産会社がGACKTとコラボを進めている

 北海道・根室の水産会社が、アーティストのGACKTとコラボを進めている。根室市に本社を置くオーシャンは、7月から美食ブランド「GACKT極シリーズ」を展開中だ。

 花咲ガニや毛ガニ、北海シマエビ、ホタテの加工品といった海産物の他、阿寒ポーク、富良野メロンなども取り扱い、オーシャンが販売。価格帯が富良野メロンの4480円から毛ガニの1万2800円と、やや高めの価格設定にしているのが特徴で、高付加価値戦略による商品展開をしている。

 GACKTは美食家としても知られていて、テレビ番組「芸能人格付けチェック」などでも食へのこだわりを垣間見ることができる。なぜ、根室の水産会社がGACKTとコラボすることになったのか。オーシャンの荒木和人社長に聞いた。そこには、地方都市の水産会社としての課題と苦悩があったという。

●衰退する水産業 品質管理が評価されない課題

 水産業者の課題の背景にあるのが、衰退の一途をたどる水産業界だ。オーシャンもB2Bの事業からB2Cへの事業転換に迫られた。水産庁の統計によると、1984年に1282万トンあった海面漁業の漁獲生産量は、2022年は392万トンと4分1以下に低下。生産額で見ても、ピーク時の1982年に2兆9772億円あった生産額は、2022年に1兆6001億円と、実に5割弱の減少となっている。

 原因として、魚中心の食事から肉食など食文化の多様化、海洋環境の変化、水産資源の減少、過疎化や少子高齢化による漁業就業者の減少などがある。過疎化による影響は大きく、かつて水産で賑わっていた都市の多くの人口が減少している。その中で水産業者は地域に残る数少ない雇用先であるものの、労働環境がきついイメージなどから若者を中心に敬遠されているのが現状だ。この難局を、ブランド戦略によって打開していこうとする狙いがオーシャンにある。

 水産品の加工を手掛け、オーシャンに商品を卸している関連企業のキタウロコ荒木商店の4代目社長も務める荒木和人社長は「当社には、品質に譲れないこだわりがあった」と話す。

 「根室の漁獲高が年々減り続け、安定もしない中、当社の商品は品質で差別化する戦略を取っていました。付加価値をつけることによって、生産量が減っていても、高い収益を上げる狙いがありました」

 キタウロコ荒木商店が特に徹底しているのが、温度管理だ。これによって、獲れた水産物の品質が多少低くとも、高い鮮度を保ったまま流通に乗せられるという。ところが、B2Bでは品質管理が評価されない課題があった。

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