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人気ドラマはどこで撮影しているの? 知られざる「ロケーションビジネス」の世界

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月7日 8時15分

 非日常を目にすることによって、嫌悪感を覚えるビジネスパーソンもいる。クレームがでてきてもおかしくない状況の中で、デイ・ナイトはどのような対応をとっているのか。

 ビル側にはビル側のルールがあること、制作側には制作側の働き方があること。このことを双方に説明して、できるだけ摩擦が起きないように取り組んでいるそうだ。それでも想定外のことが起きることもあるので、ロケ現場には必ず担当者を配置していて、なにかあればすぐに対応できるようにしているという。

●ネガティブシーンの撮影場所

 話は変わるが、どういった施設でよく撮影が行われるのか。「新しいビルで、オシャレなスペースが人気なのでは?」と思われたかもしれないが、必ずしもそうではない。例えば、暴走族のメンバーがたくさん集まるシーンがあったとしよう。派手なメークと奇抜な服装をした人がたくさんやって来て、改造したバイクが大きな音をたてる。台本に「ケンカを始める」と書かれていれば、そこで取っ組み合いが始まる。

 オフィスビルの近くでこうした撮影は難しいが、自治体の公的施設で適しているところがある。例えば、クリーンセンター。ゴミの持ち込みや排泄物の処理などを行うので、敷地は広い。また、クルマや人の出入りもそれほど多くはないので、ネガティブなシーンには“適している”ようなのだ。

 ある自治体のクリーンセンターで、残虐な殺しのシーンなどを撮影したところ、制作側から「また、次も」「また、今度も」といった具合に、何度も何度も声がかかったそうだ。となると、その動きが気になるのは、他の自治体である。

 「あそこのクリーンセンターで、なぜ何度も撮影しているの?」となって、調べてみると、業者に依頼してロケ誘致をしていることが分かってきた。「であれば、ウチも」といった流れで、デイ・ナイトに依頼するケースが多いようだ。「基本的に当社から営業をすることはなく、いわゆる口コミをきっかけに『声』がかかることが多いですね」(久須美さん)とのこと。

●最も撮影されたビル

 デイ・ナイトが管理している施設で、最も撮影されているところはどこか。東京・千代田区にある「NTT日比谷ビル」が断トツだそうだ。いや、正確に言うと「だった」である。

 日本電信電話公社(通称:電電公社)が本社を構えていたこともあったが、ビルは1961年に竣工したこともあって、老朽化が進んでいた。2022年、再開発を理由に解体されたことはニュースになっていたので、記憶に残っている人も多いかもしれない。

 NTT日比谷ビルは60年ほど前に建てられたので、お世辞にも「最新」「キレい」といった言葉は出てこない。しかし、である。ロケ現場としては「そこがいい」ようで、このビルで多くの刑事ドラマが撮影された。

 このビジネスをうまく回すカギは、いい施設をどれほど押さえているかである。先述したグランパークタワーのように現代の建物でも、エントランスや屋上などいろいろな場所で撮影できるところはよく使われる。

 一方、大正や昭和の雰囲気が漂う建物も、映画やドラマの台本によく書かれている。公衆電話を設置する台が残っていたり、配管がむき出しになった廊下があったり、外壁が古いタイルのままであったり――。

 ということもあって、歴史を感じられるビルを前にすると「施設探しの担当者は、目をキラキラさせていますね」(久須美さん)

(土肥義則)

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