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アイドルフェス仕掛け人に聞く コロナ禍明けのライブ・エンタメの展望

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月9日 15時27分

 このようなフェス市場の多様化の中で、@JAM EXPOはアイドルシーンにおけるプラットフォームの役割を担う。3日間で230組ものアイドルグループが参加する、業界にとっては重要なイベントのひとつだ。

●アイドルフェス:コロナ後の回復と新たな課題

 橋元氏によると、ライブの観客数はコロナ前の水準に戻り、多くのファンが再びライブの現場に足を運んでいるという。一方、運営面では新たな課題も浮上した。それは、制作コストの大幅な増加だ。特に人件費が大幅に上昇しており、今年の@JAM EXPOでは「アルバイトだけでも5000万円以上の人件費がかかる」と話す。これがイベント全体の運営に影響を与えている状況だ。

 一般的なイベントでは、チケット完売額の70~80%程度を損益分岐点としており、こうしたコスト増加に対応するため、@JAM EXPOでも全体の価格調整をしているという。特にVIPチケットは、イベント運営の重要な収入源であり、収益を確保するための手段だ。VIP S席(3日券 13万7000円)、VIP席(3日券 12万6000円)など特に熱心なファン層からのサポートを引き出している。ファンの一人ひとりの価値を最大限に引き出し、収益の安定化を図るのが狙いだ。

 ここで重要となるのがファンマーケティングである。ファンマーケティングとは、ファンとの深い関係を築き、ブランドやイベントに対するロイヤルティーを高めることで、長期的な支援を引き出す戦略だ。VIPチケットの設定や特典の充実は、ファンに特別な体験を提供することによって、リピーターとなるファンを増やし、LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)を向上させることを目指す。

 @JAM EXPOの収益構造は、チケット収入と協賛収入によって成り立っている。橋元氏によれば、収益の比率はチケット収入が約8割、協賛収入が約2割だという。協賛企業の支援はイベント運営を支える重要な要素であり、今回は第一興商やUP-T(運営元:丸井織物)などが協賛として参加した。これらの企業は、チケット販売やグッズ制作の面でも協力していて、イベント全体の運営に貢献している。協賛企業のサポートを活用しながら、収益の多様化を図ることで、イベントの運営を安定させ、さらなる成長を目指す構えだ。

●プロモーション戦略の進化とSNSの役割

 現代のアイドルフェスにおいて、SNSを活用したプロモーションは欠かせない要素である。特に、TikTokやYouTubeなど若年層に人気のあるSNSは、アイドルプロモーションの主戦場となっていて、これらのプラットフォームを活用することで、広範なファン層にリーチしている。橋元氏は「プロモーションの中心はTikTokやYouTubeだが、イベント広報には依然としてX(旧Twitter)に優位性がある」と話す。各SNSがそれぞれ異なる役割を果たしている点に注目している。

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