学習ツールを「社員が使ってくれない」と嘆く人事が知らない、全社浸透のコツ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月4日 6時0分
●健康増進の考え方:「肉体と精神」「診断と改善」の4領域をカバーする
機械が故障したとき、部品を交換すればすぐに動くようになるだろう。しかし、人間が風邪をひいたとき、特定の器官を交換しても治らない。薬を飲んだり、栄養をとったり、十分な睡眠で身体を休めたりと、さまざまな方法で回復を図る。
従業員の健康増進も同様に、複合的なアプローチが必要になる。ポイントは「肉体的健康」と「精神的健康」、「診断」と「改善」の4領域を全てカバーすることだ。
例えば、定期健康診断は「肉体的健康」の「診断」をするための施策であり、フィットネスクラブの活用は「肉体的健康」の「改善」を目的としている。ストレスチェックサーベイは「精神的健康」を「診断」し、コミュニティーづくりは「精神的健康」の「改善」を図るものだ。
まずは診断によって肉体・精神の両面から従業員のコンディションを把握することが先決だ。その上で、肉体・精神の両面で改善のための施策を講じていきたい。
健康増進の取り組みによって、心身ともに良好なコンディションを保てるようになると、より会社や他者への貢献欲求や承認欲求が生まれ、自己実現というさらに高次元の欲求が強くなっていく。
しかし、より高度な自己実現の充足に向かう上で、陥りがちな落とし穴も存在するため注意が必要だ。
●自己実現の落とし穴
近年、LMS(学習管理システム)を導入し、従業員のスキル習得やキャリア開発を支援する企業が増えている。もちろん、従業員に学習機会を提供し、キャリア開発を促すことは重要である。しかし、会社に「やらされる」という受け身の姿勢で取り組んでも、キャリア開発はうまくいかない。前提として、自ら主体的にキャリアに向き合う「スタンス」が形成されていることが大切だ。
ビジネスパーソンに求められる要件は、下図のように「人材要件フレーム」として整理できる。スタンスがピラミッドの土台になっていることから分かるように、良いスタンスを確立できていない人は、今後のキャリアに必要な知識やスキルを習得しようとしてもうまくいかず、キャリア開発が停滞する。優先すべきは、後天的獲得可能性の低いスタンスを開発することだ。
キャリア開発では、「3つの輪」のフレームワークが使われることが多い。これは、個人の「Will=やりたいこと」「Can=やれること」「Must=やるべきこと」を整理するフレームワークで、3つの輪の「重なり」が大きくなるほど自己実現につながりやすくなる。
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