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なぜ「2リットル」だけを製造? ミネラルウオーターの“ドル箱”をあえて狙わない、小さな会社の独自戦略

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月12日 8時5分

なぜ「2リットル」だけを製造? ミネラルウオーターの“ドル箱”をあえて狙わない、小さな会社の独自戦略

2リットルのみを製造する安曇野ミネラルウォーター、なぜ?

 市場規模が伸び続けるミネラルウオーター業界において、2リットル製品のみに注力する企業がある。長野県安曇野市に本社を置く「安曇野ミネラルウォーター」だ。創業当初は赤字に苦しみながらも、独自戦略でポジションを築き、2024年10月には25億円を投じた新工場も稼働する。同社はなぜ、2リットルにこだわったのか。これまでの道のりと今後について代表の新井泰憲氏に聞いた。

 ミネラルウオーター業界では、長らく500ミリリットル製品が主流となっていた。背景には輸送効率と売価の問題がある。例えば、同じスペースなら500ミリリットルが24本積載できるのに対し、2リットルではわずか6本だ。にもかかわらず、売価はほぼ同じため、多くのメーカーは利益の見込める500ミリリットル製品に注力してきた。

 業界の常識に逆行するような戦略を選択したことについて、新井氏は「2リットル製品から撤退する企業もありチャンスと感じた」と説明する。

 さらに、同社の躍進に大きく寄与したのが、2014年から始まったファミリーマートのPB商品の製造だ。当時、ファミマは東日本大震災を機に、社会的インフラとして水の安定供給を目指し、新たな調達先を探していたという。

 そこで、津南(新潟県)と霧島(宮崎県)に次ぐ商品として、創業間もない安曇野ミネラルウォーターが選択肢のひとつとなった。

●国際規格も取得し製造ラインを整備

 「安曇野は東西からのアクセスが良く、大量の水がありながらも山奥ではない。巨大な盆地の下にアルプスから流れ込んだ水がたまっており、物流面でも優位性があった」と新井氏は選定された理由について分析する。

 しかし、創業2年目の同社にとって、大手コンビニチェーンとの取引は大きな挑戦だった。大量生産や販売経験がほとんどなかったことから、当初はファミマ側の反応も厳しかったという。

 この大型案件獲得に向け、同社は食品安全マネジメントシステムの国際規格「FSSC22000」の認証取得に取り組んだ。約半年をかけて工場の仕組みを変えながら準備を進め、認証を取得。無事にファミマの監査にも合格し、2014年10月からPB製品の生産を開始した。

 創業2年目でファミマとの契約を結んだものの、同社の経営は依然として厳しい状況が続いていた。創業期は困難の連続だったと新井氏は振り返る。

 資金不足から海外製の安価な機械を導入せざるを得ず、当然ながら修理時にも簡単に日本へは来てくれない。モーターが故障した時には、製造元がある現地へ交換用品を取りに行くなど、対応に追われた。

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