1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

日本語教師はなぜ「スパイ」だと疑われたか ツッコミどころ満載のニュース番組

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月13日 9時20分

 男性は、ビジネス的にも大変な迷惑を被っていると述べていた。それもそのはずだ。国内外でビジネスを展開している経営者が、海外在住の元身内が拘束されて、そのスマホから昔のやりとりが見つかったからといって、突然「軍の諜報員」とされてしまうのである。

 もっとも、元身内でなかったとしても、海外で暮らす知り合いにビジネスチャンスを見据えて現地の事情を聞くだけでも、同じような事態に直面するリスクはある。野心的なビジネスパーソンほど危険にさらされかねない。

 それが国営放送のニュースとして、YouTubeで全世界に配信されるのだから、スパイに「でっち上げられた」側は悲惨だ。しかも番組側から確認のための取材も来ていないので、反論のしようもない。また、ベラルーシの同盟国などに訪問したら、「軍の諜報員」として拘束されてしまう可能性すらある。

 特に、日本や欧米と価値観を共有しないような国が絡むと、そのリスクはさらに高くなるだろう。ちなみに、ベラルーシはロシアと国境を接し、旧ソ連諸国の中でも有数の親ロシア国家だ。情報機関が協力をしながら両国の国益のために動いているため、ロシアの思惑が背後にある可能性も考えられる。2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、日本はロシアに対して厳しい姿勢を示しており、経済制裁も科している。言うまでもないが、北方領土を巡る問題も抱えている。

 今回の件は、仕事で海外に行くビジネスパーソンだけでなく、一般の旅行者にも教訓となるだろう。特に注意が必要なのは、写真撮影である。

 特に日本と友好関係のないような国では、どこに政府機関や軍事関係の建物があるか分からない。街中で写真撮影をしていたら、たまたま重要施設が映り込んでしまい、スパイ容疑などで拘束されてしまう可能性すらある。ガイドブックに載っている観光地なら問題ないだろうが、それ以外ではむやみやたらに写真を撮るのは控えた方がいい。

 これまでなら、もし写真撮影が問題になったとしても、その場で写真を消せば許してもらえることもあったが、最近は自動でクラウドサービスに同期されてしまうこともあるので注意が必要だ。大抵の場合、そうしたクラウドのサーバは国外にあることが多いため、写真を撮影した瞬間に海外に持ち出してしまうことになる。西側諸国なら問題になることは少ないと思うが、そうではない敵対的な国ではそれを根拠にスパイ扱いされてしまう可能性も否定できない。

 中西氏が裏で日本などの情報組織とやりとりしていたのかは現時点では分からない。だがここまで見てきた通り、西側諸国と対立しているような国では、情報共有や写真撮影なども気を付ける必要があるということだ。拘束されたら、スマホやPCの中身まで過去にさかのぼって見られてしまうのである。

 そうしたことを意識しておかないと、スパイ扱いされてプロパガンダ目的で拘束されてしまう可能性もある。ビジネスであっても、海外とやりとりする際には注意が必要だ。

(山田敏弘)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください