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富士急ハイランドの観客が1.4倍に ドローンショーの「裏側」を聞いてきた

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月23日 7時20分

 世界記録に認定されたのはドローンショーで描く「ディスプレイの大きさ」と「ドローンの同時飛行数」だ。前者は7998の機体を使って約155(幅)×約85(高さ)メートルのディスプレイを描いた。後者は8100機のドローンを使って約15分間のショーを実施した。

 「ドローンショーにおける新たな技術開発でいえば、欧米企業が強いのですが、中国企業は最先端の技術を素早くキャッチアップして、同じものをつくり出す能力が高いですね。ドローンショー市場を牽引しているのは中国で、単純に人口が多いので連日ショーを開催しても話題になるのだと思います」

 先行する中国市場と日本を比較すると、日本のドローンショーは規模が小さく、中国を追っているような状況だ。ただ、日本がそのレベルに追いつくことは不可能ではないと山本氏は話す。

 「規模の違いにおける一番の要因として、中国と日本では電波法という法律の違いがあり、現状の日本では一度のドローンショーで飛ばせる機体数に限度があります。中国では8000機を飛ばせるのに対し、日本では当社でも検証しきれていないのですが、マックス3000機ほどになると見込んでいます」

 日本がすぐに中国の規模に追いつくのは難しいが、例えば1年後に数倍の機体数を飛ばせる可能性もあるという。また、細部へのこだわりという点で日本企業はすぐれており、ショーのクオリティーで勝てる見込みは十分にあるとのこと。今回の世界記録で再現された初音ミクのように、日本が誇るアニメなどIPとのコラボによりインパクトを出すことも考えられる。

●需要に対して、供給が足りていない

 国内におけるドローンショーの実施回数は、ドローンショー・ジャパン(2024年8月時点、ドローンショー・ジャパン調べ)が最も多いが、機体所有数はレッドクリフ社(東京都港区、2024年9月時点、レッドクリフ社調べ)で、3000機以上を一括管理しており、1000機以上の大型ショーの実績が豊富だ。

 山本氏は、ドローンショー・ジャパンの差別化ポイントとして「自社での機体開発」をあげた。

 「当社は、国内企業で唯一ドローンショーの専用機体を開発し、他社へ販売もしています。最大のメリットはコスパがいいこと。中国企業で開発した機体を購入するよりも安価となり、修理も国内で完了できます」

 ドローンショー・ジャパンは先日、シリーズAラウンドで5億円の資金調達を実施した。今後、よりシンプルで安全に使用できる改良版の機体を開発し、2024年末に発売予定だ。現状よりも大幅に価格が下がる見込みだという。さらに、ドローンショーを取り巻くエコシステムを確立していきたいと意気込む。

 「現在の課題は、需要に対して圧倒的に供給が足りていないこと。多くのご相談をいただくものの、機体や人員などのリソース不足でお断りする案件が少なくありません。そこで、ドローンショー事業に参入したい企業に当社の機体を購入、または貸与するとともに、培ったノウハウを継承していけたらと考えています」

 同社は山本氏の地元である石川県金沢市で創業したが、東京オフィスもオープンした。今後、東京オフィスを強化しながらエコシステムを確立し、海外市場に打って出たいと展望を語った。国外でドローンショー・ジャパンが制作したドローンショーが見られる日も、そう遠くないかもしれない。

(小林香織)

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