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「ピクトグラム」では良さが伝わらない…… ワークマン、機能の「格付け」を始めた背景 対ユニクロも意識か

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月24日 6時15分

 発表会のスライドを見ても、消臭機能で5種類、抗菌機能で9種類など、さまざま存在します。ただ、どのピクトグラムが何を意味しているのかまでを理解するのは難しいのではないでしょうか。機能にこだわるあまり、機能の説明が複雑になり、商品特徴が逆に分かりづらくなり、消費者に伝わっていなかったのです。

 そこで、新たに「耐雨度」「防寒度」「ストレッチ度」「美脚度」と4項目で5段階評価の格付け基準を作り、商品タグに格付け内容が分かる表記を付けることにしたのです。星の数で格付けを行い、その内容に応じて商品のグレードを示すことで、どこまでの雨や寒さ、伸縮に耐えられるのかを分かりやすくしました。

 例えば耐雨度は「耐水圧」「透湿度」「撥水度」でレベル分け、そして耐雨度を5つのグレードに分類し、「小雨」「本降り」「豪雨」などどこまでの雨量に対応できるかを明示しています。

 会社全体としてはデザイン性を高めつつも、本来の強みである機能性に特化し、より幅広い消費者にアピールするのが格付けですが、あらためて、なぜワークマンはこのような取り組みを始めたのでしょうか。そこにはワークマンの現状が関係していると筆者は考えます。

●格付けで「複数買い」も誘発できる?

 近年、自社の好調さが話題になることの多いワークマン。2024年3月期の損益計算書を見ると、営業利益率は17.8%と高く、当期純利益率も12.1%で実績は申し分ありません。しかし、その成長性が止まりつつあるように見えます。

 同社の商品別売上高に、その兆候は表れています。カテゴリー別で最も売り上げ構成比が大きいワーク・アウトドアウエアの売り上げが落ちており、防寒アウターの売り上げは前期比13.8%減少、ウォームパンツが同12.2%減少したことが響いています。

 それ以外でも、防寒系アイテムが軒並み苦戦。暖冬の影響でやむを得ない部分はありますが、今後も天候異変は続くことが予想できます。通常の売り方を継続していたのでは、売り上げの成長を続けるのは難しいと同社が判断したのだと筆者は推測しています。

 今回、ワークマンが格付けを導入した理由の一つは防寒商品の売り上げを伸ばすことにあるでしょう。同社の売り上げを支えてきた防寒商品などのアウターは、単価が高い商品です。さらに伸ばすためには、冬の寒さが緩くても厳しくても変わらず売れる工夫が必要です。格付けで機能性を分かりやすくして、シチュエーション別に必要なアイテムを理解してもらうことも有効でしょう。例えば、防寒のグレード3と5、2着を購入してもらったり、台風や豪雨に備えて、日常使いの耐雨グレード3とグレード5の2着の同時買いが期待できます。

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