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エヌビディアの株価急落、インテルの「内憂外患」 AI最前線で今何が起きているのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月24日 8時5分

 インテルの主要事業はPCやサーバ用のCPU(中央演算装置)である。特にPC向け事業は売り上げ全体の約半数を占める(2023年実績:図2)。インテルの不調の原因は、表向きはAIブームにおいてエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)のGPUに後塵(こうじん)を拝したことにある。ただし本質的には、主力であるPC市場の需要の低下と、2021年からスタートした半導体のファウンドリ(受託製造)事業の不調が背景にある。

 ファウンドリ事業は、台湾TSMCや韓国サムスン電子などに対抗するサービスとして、インテルの戦略上の要である。巨額の先行投資を要するとはいえ、同事業の2023年の営業損益は約70億米ドル(約1兆150億円)の赤字だった。

 また、事業成功の要となる大型顧客の獲得においても、AWSとの戦略的提携を発表した一方で、ソフトバンクとの交渉が決裂したと報道されるなど、一進一退の状況である。

 9月16日には、同事業をインテル内部の独立した子会社とし、米国外での工場新設を延期すると発表した。主力のCPU事業への財務面での影響を排除しながら、米国CHIPS法にもとづく85億ドルの補助金の獲得を確実にしようという意図が伺える。

 「2030年までに世界第2位のファウンドリになる」(パット・ゲルシンガーCEO)というビジョンの実現に向けて、乗り越えるべき壁は多そうだ。

●AIはデータセンターからPCへ AI PCの登場

 「AI PC」とは、AIの推論に特化したNPU(ニューラルプロセッシング・ユニット)を組み込んだCPUを搭載したPCである。データセンターにデータを送ることなくローカルでAIモデルを使った解析ができるので、セキュリティやプライバシー保護の観点から安心でき、AIの新しいトレンドを示すキーワードの一つとして注目を集めている。

 マイクロソフトは5月、同社の生成AIサービスであるCopilot(コパイロット)を利用できるAI PCを表すコンセプトモデルとして、「Copilot+PC」を発表した。発表当初はクアルコム「Snapdragon Xシリーズ」を搭載したPCしか選択肢がなかったが、9月3日、インテルが新たなNPU搭載CPU「Core Ultraシリーズ2」を正式に発表した。インテルにとっては主力事業の売り上げ拡大の切り札にしたいところだろう。

 現在のところ、AI PCを使って“これは!”と思わせるアプリケーションは少ない。現在ローンチされているアプリは、PC内の書類の検索を高度に行えるチャットボット、PC搭載のカメラを使って被写体の自動追尾やフォーカス、ペイントツールで画像の加工・修正ができるものなどが確認できる。もちろん使ってみると便利だが、「AI PCでなければできない」ということはない。加えて、AI PCにはPCの中で推論を行うためのAIモデル(SLM:小規模言語モデル)が必要だが、誰がどのように準備するのかは現時点では定かではない。

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