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ソフトバンク、株主優待コストに10億円 それでも“元が取れる”と見込むワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月26日 8時10分

 同じような狙いを持つのは同業のNTTだ。NTTは2023年7月に1株を25分割する株式分割を実施し、大きな成果を上げている。NTTの個人株主数は105万人増えて176万人になり、1年で2.5倍になった。最低投資金額が40万円台から1万円台に下がり、個人が投資しやすくなったことが、株主数が増えた大きな要因とみられる。

 この成功例を横目に、ソフトバンクも独自の戦略を練っていた。「実は、NTTが株式分割を発表した2023年5月の時点で、われわれは既に検討を進めていた」と吉岡氏は明かす。分割および優待新設と結果的には似た内容となったが、NTTに対抗した施策ではないとしている。

●PayPay経済圏強化へ 株主優待で描く青写真

 株式分割と同時に注目を集めているのが、新設される株主優待制度だ。普通株式を1年以上かつ100株以上保有する株主に対し、PayPayポイント1000ポイント(1000円相当)を贈呈する。

 「優待内容を決める際、さまざまな選択肢を検討した」と吉岡氏は語る。「結果として、当社グループの経済圏拡大にも寄与するPayPayポイントが最適だと判断した」

 この判断の背景には、徹底した市場調査があった。「アンケート調査を実施し、ポイント、カタログギフト、通信料割引などの選択肢を用意した。結果は驚くほど明確で、PayPayポイントがダントツの人気だった」と吉岡氏は説明する。

 さらにPayPayポイントを通じた経済圏の拡大という戦略的意図もある。「PayPayは単なる決済サービスではない。保険や証券、銀行サービスなど、さまざまな金融サービスとの連携も進んでいる」と吉岡氏。「株主の皆さまにPayPayポイントを通じて、これらのサービスをより深く理解し、利用してほしいと考えている」

 PayPayポイントを選択した背景には、経済的な考慮も働いている。「優待コストは10億円くらいで見ている」と吉岡氏は明かす。「一方で、1円の増配を実施すると48億円のコストがかかる」

 ソフトバンクの現在の株主構成は、親会社のソフトバンクグループが約40%、国内機関投資家と海外機関投資家がそれぞれ約20%、そして個人投資家が約20%を占める。「個人投資家の比率が大きく変わることは想定していない」と吉岡氏は言う。

 その上で、「より多くの方々に株主になってもらい、当社のサービスを体験してほしい」という。ソフトバンクは今回の施策により株主数の増加を見込んでいるが、具体的な目標数は明らかにしていない。現在の株主数は約86万人だが、NTTの例などを見ると、今回の施策により2倍程度には増加するとみられる。

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