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パルワールド、任天堂への賠償は数百億円に? ソニー・アニプレックス協業の影響は

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月15日 6時25分

 しかし特許侵害の場合は、特許庁に詳細に登録されている技術的なアイデアやメカニズムを、被告側が無断使用していることを示せばそれで足りる。客観的な証拠に基づいた訴訟を提起することで、任天堂側がより勝訴しやすい状況が生まれるわけだ。

 さらに、特許権の侵害が認められた場合、技術そのものの使用を禁止する強力な法的措置を取ることも可能だ。仮にポケットペアに対し、『Palworld』のゲームシステム全体に影響を与えるような判決が下されたとしよう。するとポケットベアは、単なるキャラクターデザインの変更ではなく、ゲームの根本的な仕組みを変えざるを得なくなるのだ。

 これらの点で任天堂は著作権侵害ではなく特許権侵害に基づく訴訟を提起したと考えられる。

 そして、気になるのが賠償額だ。特許権侵害に対する賠償額は一般に、侵害者が特許技術を使用して得た利益が基準となる。

 任天堂は過去にも特許権侵害訴訟を行っており、特に有名な例が『白猫プロジェクト』に対する訴訟だ。

 このケースでは、コロプラがスマートフォン向けゲーム『白猫プロジェクト』で、任天堂が保有する操作システムに関する特許を侵害しているとされた。任天堂は当初44億円(のちに96億9900万円に増額)の賠償を求めて訴訟を起こし、最終的には2021年に33億円をコロプラが任天堂に支払う形で和解が成立した。

 当時のコロプラは全社の利益が100億円程度であった。そのおよそ3割を賠償金として支払ったことになる。

 今回の場合、ポケットペアが得た700億円以上だ。仮に700億円のうち、相当な部分が利益となっていた場合は、150億~200億円程度が賠償金額の最低ラインとなる可能性は否定できないだろう。

 では今後のシナリオはどうなるか。

 任天堂側が勝訴、あるいは敗訴する以外に、最も現実的なシナリオとして、コロプラの事例同様、ポケットペアが任天堂との和解を選択する可能性が挙げられる。これは任天堂としても、長期的な訴訟にかかるコストや時間を避け、和解金を支払うことでリスクを最小限に抑られるというメリットがある。

 また、もう一つの可能性として、ポケットペアが任天堂との法的争いを回避し、協業やパートナーシップに転じるというシナリオもありうる。ただし、この線はポケットペア側が任天堂のライバルであるソニーと提携したことによって薄くなった。

●ソニーやアニプレックスがIP管理することの批判

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