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実写化で「炎上しない」条件 呪術廻戦のマーケ事例から考える

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 8時20分

 舞台版呪術廻戦のケースでは、SNSを通じた透明性のあるプロモーション戦略も奏功した。キャスティングやビジュアルを段階的に公開し、ファンの反応を見ながら期待値を調整したと考えられ、炎上リスクの軽減に寄与したとみられる。こうしてファンの声を反映させることが、キャスティングの適正さや作品への忠実性を示すことにつながる。

●コスプレ文化の発達で「目が肥えた」ファンたち

 加えて、近年は「コスプレ文化」が発達・普及し、コスプレを鑑賞する人が増えていることも考慮すべきだ。ファンが期待する高い再現度は、コスプレイヤーたちが日常的に示しているのだ。

 呪術廻戦の人気キャラクター五条悟に関しては、コスプレイヤーのウィル氏がその再現度の高さで注目を集めている。ウィル氏はSNSで54.2万人のフォロワーを持ち、五条悟を忠実に再現している点がファンに評価されている。

 こうした背景からファンはある意味で目が肥えており、実写化においてもビジュアル面の高い再現度を期待するようになった。プロモーションにおいては、コスプレイヤーが持つSNSでの影響力を活用することも一つの戦略だろう。

●「ファンタ学園」CMの成功から学ぶ

 実写化のキャスティングと再現度の重要性を示す成功事例として、呪術廻戦27巻の発売に合わせて行った「ファンタ学園」のオマージュCMは良い教材だ。

 このCMでは、作中のキャラクター高羽史彦を演じた牧野裕夢氏と羂索役の村田凪氏が、漫画からそのまま出てきたような高い再現度で注目を集めた。その反響は役者にもおよび、村田氏はこのCMをきっかけにSNSフォロワー数が10倍に増加した。

 この事例は、キャラクターの再現度の高さがSNS上でのバイラル効果を生むことを示している。単に有名俳優を起用するだけではなく、キャラクターをどれだけ忠実に再現できるかが、ファンの期待に応え、爆発的な拡散力の源泉になる。

●「炎上を避けるための条件」とは?

 実写化プロジェクトにおいて“炎上”しないためには、ファンの期待を裏切らないよう再現度を高めることが重要だ。そのためには、作り手がキャラクターや作品に対する深い理解と愛情を持つことが欠かせない。

 キャスティングにおいては、俳優の知名度よりも再現度を最優先すべきだ。俳優が無名であったとしても、「ハマり役」であればファンは喜びをもって受け入れ、大きなプロモーションの成果につながるだろう。

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