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時代に逆行してあえて「地方・築古・一戸建て」に着目 社会問題化する「空き家」活用ビジネスが今アツい

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月30日 6時15分

 ファンドがやすらぎを買収し、新井社長をスカウトしたその時点では、数年にわたって売り上げが下降していました。「中古住宅を買い取り、付加価値をつけて再生し、販売していく」、新社名カチタスの由来でもあるビジネスモデルの基本は生かしながら、第2の創業として売り上げを回復させつつ成長軌道を描くことが、新井社長に課されたミッションとなりました。その意味では、銀行出身の企業コンサルタントでMBA取得者であり、かつ不動産業界の現場を熟知して幅広い人脈をもった氏はまさしくその適任と思しき人物であったというわけなのでしょう。

 新井社長の下でカチタスは、競売市場をベースとする物件の仕入れ手法を根本から見直ししました。バブル崩壊後の長期景気低迷が一服し、入札にかかる物件が減ったことが売り上げの減少に大きな影響を及ぼしていたことから、競売物件に頼らない仕入れへとシフトします。

 個人所有の中古住宅は質の優劣差が激しいものの、それまでの豊富な経験から再販売できる物件見極め力とリフォームノウハウを蓄えていたことで、後述する他社にはないスタイルを確立できたことが幸いしました。それにより、仕入れの9割以上を占めていた競売物件をごくわずかにまで減らすことに成功し、売り上げのV字回復が可能になったのです。

●なぜ、マンションではなく戸建てなのか

 この流れを後押ししたのが、冒頭でも触れた地方における空き家問題、すなわち中古住宅の売却ニーズの拡大と、安価な戸建て住宅を求める安定的ニーズの存在でした。都会では高層マンションを筆頭に集合住宅に対する購買ニーズが強いのですが、わが国の大半を占める地方においては依然として戸建て住宅への購買ニーズが強い傾向にあります。しかも日本人の特性として、新築ニーズが特に強いのです。

 そのため、中古住宅の売りはたくさんあるが人気がない、一方で新築物件は人気があるが価格的に高価であり手が出ない――このニーズのミスマッチ解消を可能にしたのが、新生カチタスのビジネスモデルなのです。

 さらに力を発揮したのが、独自ノウハウが詰まっているカチタスのリフォームです。一例を挙げれば、躯体を強化し内装の今風リニューアルを施すのはもとより、万全のシロアリの駆除・予防を施し、隣接地と調整して駐車場まで確保して販売しています。特筆すべきは、リフォームの計画とその進展状況をWeb上で公開していることです。その進行過程をパソコンやスマホで見られ、リフォーム中に物件は販売されているので、着工早期に売買契約すれば壁紙や什器などの色の好みも反映できるのです。

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