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時代に逆行してあえて「地方・築古・一戸建て」に着目 社会問題化する「空き家」活用ビジネスが今アツい

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月30日 6時15分

 ここまでかゆいところに手が届いて、大半の物件価格は新築住宅の半額程度だといいます。まさしく「価値を足して再生する」、カチタスという社名の面目躍如といったところでしょう。税金対策で長らく空き家になったままの住宅も多く、そのままでは住めない物件をプロのノウハウでよみがえらせ、安価にキレイで住みやすい戸建て住宅を求めるニーズに応える、カチタスの物件からはそんな姿勢がうかがい知れるのです。

 素人考えでは、中古戸建て住宅よりもマンション・リフォームの方が手っ取り早く、手掛けやすいのではないかと思えてしまうかもしれません。しかし、カチタスは原則マンション・リフォームには手を出していません。その理由を新井社長は、「当社の営業中心地域は人口5万人ほどの都市で、そこにはマンションが少ない。またマンション・リフォームはリスクが少ないために、参入障壁が低く競争上から粗利が小さい」と説明しています。 

●あえて時代の逆「地方・築古・一戸建て」にこだわる

 そしてもう一つ、中古戸建て住宅にこだわる大きな理由があります。「世のためになるかどうか、ということを大切にしている」と新井社長は話しており、自らが「日本の空き家問題を解決する」という社会課題へ正面から取り組むという自社の社会的存在意義を社内で共有しつつ、日々ビジネスに取り組んでいるのです。この姿勢こそが、独自のビジネスモデル成功の大きな原動力になっていると感じます。

 住宅流通が「都市・築浅・マンション」に集中する時代に、あくまで「地方・築古・一戸建て」にこだわり続けるカチタス。その姿勢に共鳴をしたのが家具・インテリア製造販売大手のニトリでした。ニトリは2017年、発行株式の34%相当を取得しカチタスと資本・業務提携を結びました。

 これによりカチタスはニトリ・ホールディングスの持ち分法適用会社となり、提携により内装リフォームなどに一層の磨きがかかる、鬼に金棒状態になったといえます。そして同年、念願の東証一部(現プライム)への上場を果たしました。上場以降はコロナ禍がありながら、実質7年連続で増収増益を続けています(2023年度のみ、対税務当局訴訟関連支出という特殊事情により約10%の減益)。

 一見古くさく思える中古住宅の再生は、その実サステナブルであり、時代の要請にも合致したアップトゥデイトなビジネスといえるでしょう。社会課題に正面から取り組みつつ他社の追随を許さぬ現状からは、自社そのものをリフォームして価値を足したともいえるカチタス。そのサステナブルなビジネスモデルは、不動産販売業界の価値をも足していく存在なのかもしれません。

(大関暁夫)

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