「AIブーム」は終焉を迎えた? スケール則の観点から考える
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月21日 10時5分
AIブームが終わるかどうかを判断するヒントは?
AIブームは、終わろうとしているのだろうか。その答えは、スケール則が今も有効かどうかにかかっているのだと思う。
スケール則とは、より多くの資金を投入してAIモデルをより大きくし、より多くのデータを学習させればさせるほど、AIが賢くなる、という経験則を指す。
その経験則が今後も有効であれば、AIは急速な進化を続けブームは終わることはないだろう。一方でスケール則がもはや有効ではないとなれば、AIに対する期待が薄れ、AIブームも終わることだろう。果たしてスケール則は今もなお有効なのだろうか。その答えを誰が持っているのだろう。
OpenAI日本法人の代表や技術系経営者の意見から「スケール側が有効かどうか」を考えてみたい。
米AnthropicのCEO Dario Amodei氏によると、これまでのスケール則の傾向から見て、1億ドルを投入すれば大学1年生レベルの知能ができる。10億ドルなら優秀な大学生、100億ドルなら優秀な大学院生、1000億ドルならノーベル賞受賞者レベルの人工知能が開発できるだろうという。
ただスケール則は自然法則ではなく、経験則。いつその傾向が失速するのか、誰にも分からない。
そんな中、KDDIのイベントに登壇したOpenAI日本法人の長崎忠雄代表(「崎」の字は、正しくはつくりが「立」に「可」の“たつさき”)は、GPTの次のモデルは「過去の実績から見て100倍近く進化していく」と語った。スケール則が今なお健在だという考えだ(参照:ITmedia NEWS「『ChatGPTのアクティブユーザー数は2億人に』──OpenAI Japan代表が公表 次世代モデル『GPT Next』にも言及」)。
一方でプリンストン大学Arvind Narayanan教授によると、今の世代のAIモデルは、ネット上のテキストデータをすでに全て学習済み。これ以上学習できるデータがないので、次世代モデルに資金をどれだけ投入しても過去のような大きな進化はもうない、と断言する。
真っ向から対立する意見だ。誰の意見が正しいのだろう。誰の意見に耳を傾けるべきなのだろう。
私自身、これまでの取材記者としてのキャリアの中で、こうした見解の相違は何度も経験してきた。そのときには発言者の立場から、その意見の信頼性を判断するようにしてきた。
今回の場合だと、スケール則は自然法則ではなく観察結果でしかないので、大学の象牙の塔の中にいる学者よりも、ビジネスの現場で最新の状況を把握している経営者の意見に耳を傾けたいと思う。
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