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PayPayはなぜ「当たり!」だけに頼らないのか? QRコード決済を超えた、意外な一手

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月1日 8時45分

 黒のPayPayカードは、実際のプラスチックカードが発行される従来型のクレカだ。店頭での利用やオンラインショッピングなど、幅広い場面で使用できる。

 このうち、同社が今、特に注力しているのが青と黒だ。

 大島氏は「決済の方法はお客さまが判断すること。その中で選択肢を広くカバーして提供していきたい」と語る。つまり、コード決済だけでなく、カード決済のニーズにも応えるという戦略だ。

 一見すると、黒のPayPayカードは、アクワイアラ(加盟店契約会社)やブランドネットワークへの手数料が発生するため高コスト、逆に赤い残高払いや青のPayPayクレジットは、PayPay社内で完結するためコストが小さいように思える。

 しかし、実際は青と黒のほうが収益性が高いという。その理由は主に2つある。1つは決済額の違いだ。クレカ決済は、QRコード決済に比べて単価が高くなる傾向がある。単価は、コード決済の赤い残高払いのほぼ倍になっているという。もう1つは金融収益だ。クレカならではのリボ払いなどの手数料が、収益を押し上げる。

 コード決済の代表格であるPayPayだが、PayPay経済圏全体で見れば、プラスチックカードの存在感は決して小さくない。PayPayの戦略は、単にQRコード決済の普及だけを目指すものではない。スマートフォンとプラスチックカード、そしてクレジット機能を組み合わせた多角的なアプローチで、決済市場全体のシェア拡大を狙っているのだ。

●デジタル時代のクレカ戦略

 クレカ業界において、リアルタイム処理やアプリ連携は、もはや付加価値ではない。顧客満足度を左右する重要な要素となりつつある。

 しかし、既存のカードは必ずしもアプリを前提としていない。ここにPayPayカードの独自性がある。確かに、PayPayカードも約3割はアプリと連携していないが、その大半は休眠会員だ。「アクティブな会員のほとんどがPayPayと連携している」と大島氏は強調する。これが同社の強みとなっている。

 今後の展開について、大島氏は「加盟店ごとのクーポンなどのキャンペーンを、カードでも取り組んでいく」と語る。PayPayでは各加盟店と連携し、店舗ごとにクーポンを発行するなどのキャンペーンが効果を発揮している。同様のキャンペーンをクレカでも実現していく形だ。アプリとカードの連携を生かした、よりきめ細かいサービスの提供を視野に入れている。

 PayPayカードの躍進は、単に6500万ユーザーを持つPayPayの誘導力だけではない。DXの進み具合がクレカの競争力を左右する時代に入ったのだ。

(斎藤健二、金融・Fintechジャーナリスト)

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