酒離れでも「日本ワイン」じわり成長 サントリーが“二兎”得る試み
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月2日 8時10分
これらの取り組みは社会貢献でもある一方、ワインづくりにも良い効果をもたらしている。「サントリー登美の丘ワイナリー」(山梨県甲斐市)の栽培技師長、大山弘平氏は「やはり、品質面でも効果がないとなかなか続けられない取り組みでもあります。その点で、4パーミル・イニシアチブであれば炭によって土壌が活性化したり、枝を炭化させる際の煙で、農地の病原菌も減少したりといった効果があるだろうと捉え、前向きに取り組んでいるところです」と話す。
●サントリーが重視する「テロワール」とは
大山氏が話す通り、やはり品質につながらないことには、社会的に意義のある取り組みでもなかなか続かない。では、そもそもサントリーの日本ワインが目指す品質とは何か。大山氏は「何か一つのバロメーターが突出しているのではなく、例えるのであれば『真円』のような、調和を持ったワイン」と表現する。そのために重要なのが「テロワール」だ。
テロワールとは「土地」を意味するフランス語から派生した言葉であり、土壌や気候など、ぶどう畑を取り巻く環境要因を指す。ワインの品質や風味を左右する重要な要素だ。
例えば、一つの農園であっても場所によって日射量や降水量は異なる。そこで登美の丘ワイナリーでは、敷地内のテロワールを生かした原酒のブレンドを行うために、畑を50区画ほどに分け、細かくぶどうを管理しているという。注力する甲州では、そのうち10区画ほどを使用して品種のポテンシャルを引き出す試行錯誤を続けている。
それぞれの区画で栽培したぶどうの特徴に合わせて細かく原酒を作り分けするために、2024年9月から7億円をかけて新たな醸造棟の建設にも着手。完成は2025年9月を予定し、年間で1000ケースの生産量増強を見込む。
●高価格帯がヒット、若年層への手応えも
ここまでサントリーが日本ワインで行っているさまざまな取り組みに触れてきたが、どんな内容でも社会に発信しないことにはもったいない。その点、登美の丘ワイナリーはイベントやツアーの開催、国際コンクールへの出品に取り組むほか、今後は輸出にも乗り出す方針だ。
サントリーの常務執行役員でワイン本部長の吉雄敬子氏は「海外での日本ワインの知名度はまだ高くないが、国内では高価格帯でも売れるなど、ある程度の成果は出ています。高くても納得して買っていただけるストーリー付けや、世界で日本酒に続くような市場を作っていきたいです」と意気込む。
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