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なぜ軽自動車は選ばれるのか 「軽トラック」がじわじわ広がっている理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月4日 6時10分

 そもそもT360という軽トラックで4輪メーカーとしてデビューを果たしたこともあり、アクティというホンダならではのミッドシップ構造の軽トラックを販売していた。ところが、オデッセイやステップワゴンといったミニバンなどのRV系に力を入れてヒットを生み出す一方で、軽自動車メーカーとしての存在感は希薄になっていった。

 そこでホンダは社運をかけて軽自動車を再解釈し、国民に支持される軽自動車を開発することにしたのである。その結果、生み出されたのが、N-WGN(Nワゴン)であった。

 従来の軽自動車ハイトワゴンの常識を超えた品質や乗り味を実現した結果、価格は高いが満足度の高いクルマが出来上がり、多くのユーザーから支持された。しかしながら、凝りに凝った構造と仕様が災いし、高コストとなってしまった。おまけにライバルは他社製軽自動車であったはずが、同じ店舗で販売する普通車からの乗り換えが続出したのである。

 初代のN-WGNはホンダに利益をあまりもたらさず、ディーラーにとってもお客さんは増えても収益は上がりにくい構造を招いてしまった。2019年に発売した2代目では、こうした問題点は改善され、販売店もメーカーも潤うモデルとなったようだ。

 ともあれホンダの影響もあって、乗用車の新車市場の4割は軽自動車が占める(もちろんスズキ、ダイハツの人気モデルもかなり多い)状況になっているのが、現在の日本の乗用車市場なのである。

 一方でトヨタのアルファードやランドクルーザーといった大型乗用車の人気も高く、残価設定やリセール性を見込んだ高額車両と軽自動車の二極化が進んでいる。これはクルマにどれだけお金を使うかというユーザーのカーライフに関する価値観の違いから来るものだ。

●軽自動車というモビリティーが再評価されている

 近年は軽トラックの実力が世界に広まりつつある。海外の牧場など、広大なスペースで足車にしているユーザーが急増中なのだ。「軽く、小さく、走破性が高く、荷物も積める」という軽トラックの利点と、小さなボディというかわいさが相まって、動画投稿サイトなどで大人気となっている。

 ホンダのアクティも海外で人気が高まっており、すでに十分使われた中古車が新車以上の価格で取引されるなどの現象も起こっている。以前は車幅を増やしたり、エンジン排気量を上げたりした海外専用モデルが設定されていたが、最近は軽自動車規格のまま輸出や現地生産をするケースもある。

 国内でも、小さく軽いという軽自動車カテゴリーを利用したスポーツカーの人気が再燃し、ジムニーなどクロスカントリーモデルも高い人気を維持しているが、この話題は広がりすぎるので、また別の機会に取り上げたい。

 石破新政権が誕生し、今後は軽自動車関連の税制が見直されるかもしれない。普通車と同じとはいかないまでも、軽自動車税などが再び引き上げられる可能性もある。

 可処分所得が増えない現在、将来の不安もあって軽自動車ユーザーが普通車へと乗り換える可能性は低い。この先もジワジワと普通車との維持費の差は縮まっていくだろうが、賢い日本のユーザーは軽自動車を選び続けるだろう。

 この先も軽自動車は、安全性も経済性もますます高められていくに違いない。日本が生んだこのユニークなカテゴリーは、日本から世界へジワジワと需要が広がりつつあるのだ。

(高根英幸)

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