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全てが安いわけではないのに、「コストコ」はなぜお客の心をつかむのか 商品以外の魅力に迫る

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月5日 6時10分

●「全てが安い」わけではない

 SNSやメディアで話題になっているように、特に人気なのが大容量の食料品だ。12個入りの蒸しパンやミニケーキ、24個入りのロールパンなど、ジャンルを問わず大容量の商品が並ぶ。例えば生鮮コーナーでは100グラムで145円(9月21日時点、以下同)の牛ひき肉、同69円の豚ひき肉などがある。比較的安いが、ひき肉の内容量は約2キロもあり、消費期限も1~2日のため、基本的に購入はファミリー層に限られるだろう。

 なお「コストコは安い」という印象があるが、こうした大容量品のため相場が把握しづらく、特にメーカー品などはシビアにグラム単価で見ると実はそこまで安くない商品も多い。安いのはコストコの自社PB「KIRKLAND Signature(カークランドシグネチャー)」だ。1本約1000円の白ワインや1キロ強で約2000円のコーヒー豆などが挙げられる。同ブランドの商品ジャンルは食料品から衣類、ゴルフ用品まで多岐にわたる。特大サイズ・低価格をコンセプトとしており、コストコ全世界では売り上げの4分の1を占めるという。

●「商品」以外にもさまざまな付加価値

 店舗で販売する商品以外にも、コストコの集客力に貢献しているものがある。例えば入口付近のフードコートは、その安さで人気を博す。ソーダ類のドリンクは1杯80円、ドリンクバースタイルでお代わりも自由だ。ピザは1スライスで350円、ホットドッグはソーダ付きで180円である。各種ソフトクリームは300円と、フードコートには常に行列ができ、にぎわっている。

 訪問した新三郷店はガソリンスタンドも併設している。9月21日時点でリッター価格はレギュラー154円、ハイオク165円であり、当時の埼玉県平均と比較して10円以上も安い(筆者調べ)。スタンドでの支払いはキャッシュレスのみで、オイル交換などの設備もなくガソリン販売に特化していることが安さにつながっているという。

 コストコは駐車場の広さも特徴で、通常スーパーが100台強であるのに対して、800台以上設置しており、自動車客をメインターゲットとしている。レジ袋は提供しておらず、カートに商品を載せたまま駐車場まで移動し、車に乗せ換えるスタイルが基本のため、圧倒的に安いガソリンスタンドは集客手段の一つになっている。

 国内の会員数は600万人以上にのぼり、仮に全員がゴールドスター会員だと仮定すると、年間の収益は290億円となる。フードコートやガソリンスタンドといった付帯設備の維持費は会員費から捻出しているのかもしれない。

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