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人里離れた絶壁にあえて出店 130席の“ぽつんと”レストランなぜ人気? 驚きの「バッドロケーション戦略」に迫る

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月5日 6時15分

人里離れた絶壁にあえて出店 130席の“ぽつんと”レストランなぜ人気? 驚きの「バッドロケーション戦略」に迫る

山を切り崩して建設した「TRATTORIA amarancia(トラットリア・アマランチャ)」

 飲食店はよく立地が重要といわれる。そのため、経営者や店舗開発担当者はなるべく駅前やロードサイドの一等地を取りに行く。二等立地、三等立地を狙う人もいるが、たいていは一等地の家賃が払える財力がないから、やむを得ず、そこに入居しているのだ。

 ところが、わざわざ好んでひと気の全くない淡路島南端部の絶壁の上に、一軒家のイタリアンレストランをつくった飲食企業がある。バルニバービ(東京都港区)という、東京証券取引所グロース市場に上場する会社だ。グループの連結売上高は、2024年7月期で約135億円、店舗数は97店を展開する(8月末時点)。

 この、山を切り崩して建設した「TRATTORIA amarancia(トラットリア・アマランチャ)」が、7月24日にオープンして以来、どこからともなく人が集まってきて、平日の昼間でも満席になる日があるなど、好調なのだ。テラスからの紀伊水道、鳴門海峡への展望が絶景で、晴れた日には遠くに淡路島と四国を結ぶ、大鳴門橋も見える。地元の食材にこだわった食事もさることながら、この景観を楽しむために、いわば軽い登山やピクニックの感覚で、人々がやってくる。

 バルニバービはレストランが好評のため、向かいに新しくホテルを建設中だ。同社はこれまで、島根県出雲市の人里離れた海岸でカフェやホテルを成功させるなど、地元の人ですら寄り付かない場所に、にぎわいを生み出す利用価値を見出してきた。創業者で同社会長の佐藤裕久氏は、「バッドロケーション戦略」と呼んでいる。

 もちろん、悪条件の場所ならどこでも良いわけではない。夕陽が海に沈む光景が美しい、地域に特徴的な食材があるなど、地元の人が気付かない価値がある立地を選んでいる。

 こうしたバッドロケーションで、バルニバービはどのような価値を生み出しているのか。現地を訪問した。

●徒歩は困難 動物が毎日のように出る、人里離れた立地

 トラットリア・アマランチャまで、公共交通で行こうと思えば大変だ。神戸からだと、中心部の三宮から高速バスに乗って約1時間半、終点の福良で降りて、タクシーに乗るのが最も一般的なルートとなる。タクシー料金も片道で4000円近くかかる。

 車でなら、神戸淡路鳴門自動車道の西淡三原インターチェンジから、25分ほど。一番近い集落の南あわじ市・阿万(あま)からなら7~8分で到達する。ただし、くねくねとした狭い山道を根気よく登っていかなければならない。徒歩で行くのは、もちろんかなり困難だ。

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