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人里離れた絶壁にあえて出店 130席の“ぽつんと”レストランなぜ人気? 驚きの「バッドロケーション戦略」に迫る

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月5日 6時15分

 出店に当たって、当初は道すらない場所だったので、まず車が通れる道をつくることから始めたという。店の前には広い駐車場を備えているが、それだけでは足りないので、登山道の途中に第2駐車場をつくった。徒歩で店までは遠いので、店員を呼び出してもらい、送迎する。店は午後9時30分まで営業しているので、帰りは暗い時間だ。店員とタクシーの運転手ともに、毎日のように鹿に遭遇すると話す。それほど、人里離れた立地なのだ。

 店内に入ると、いきなり海への雄大な展望が開ける。潮風をより感じたい人向けにはテラス席も設けており、席数は130席。真昼に訪れるのも良いが、夕陽が沈む眺めも絶景であり、夜は崖をライトアップし、幻想的な雰囲気が醸し出される。店から海岸まで階段があり、海辺にも降りられる。

 実際に訪問してみて、ここまでの眺望をおしゃれな空間で体験できるなら、大阪や神戸から1時間半~2時間半くらいかけて車を飛ばして来たい人もいるだろうと、納得できた。

●超バッドロケーションに、会長がピンと来た

 料理は、シンプルかつ豪快な、素材の良さを生かした南イタリア料理、地中海料理が基本。薪焼きのグリルを備え、牛もも肉や豚、旬の鮮魚などを焼いて提供する。地元の魚介をぜいたくに使ったペスカトーラ、淡路島特産の玉ねぎを前面に出したアマトリチャーナなどのパスタも売りである。ドリンク付きランチセットの平均的な価格は4000円前後と、決して安くない。

 野菜は、南あわじ市の生産者を開拓し、新鮮な野菜を調達。魚介類は、近くの離島である沼島(ぬしま)や徳島市の中央卸売市場から直送している。淡路産の黒毛和牛、淡路牛も使用するなど、地元の食材をメインに据えてメニューを構築している。

 バルニバービが淡路島に出店するのは、トラットリア・アマランチャが初めてではない。淡路市の西海岸、郡家・尾崎地区にカフェ「GARB COSTA ORANGE(ガーブ コスタオレンジ)」をはじめ、約20もの飲食店やホテルなどの施設を次々とつくり「フロッグス・ファーム」と名付けた飲食店街にまで発展させている。

 しかし、同じ淡路島でもトラットリア・アマランチャのある阿万は全く地域が異なり、公共交通でつながっていない。車で移動しても、同じ島内なのに1時間ほどはかかってしまう。

 なぜ、このような場所へ出店したのか。現在トラットリア・アマランチャがある山林は、ガーブ コスタオレンジなどを建てた建設会社が所有しており、バルニバービに向いた土地ではないかと、販売を打診してきたという。佐藤裕久氏は、この地を見ていたく気に入り、“過去最高”の超バッドロケーションで一軒家レストランをつくる決断をした。

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