生成AI活用で「間違いを恐れる」日本 米国に先越される
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月28日 7時25分
生成AIの業務活用で先行していた日本が米国に追い抜かれたという
生成AIの業務活用で先行していた日本が米国に追い抜かれた――。PwCコンサルティングの調査で、そんな状況が見えてきた。米国企業が積極的に対外向けサービスのリリースを目指す一方、日本企業はリスクに慎重で、インパクトが小さい社内向けのユースケースにとどまっているようだ。これから日本企業に求められる変化とは?
●「テキスト生成」に偏る日本 米国は?
PwCは4~5月、日米で売上高500億円以上の企業に所属する従業員、課長職以上、生成AI導入に関与する社員などを対象に調査を実施。日本から912人、米国から300人の回答を得て、結果を比較した。
生成AI活用の推進度合いを比較すると、日本は「活用中」(業務で生成AIを利用)が43%、「推進中」(ユースケースの企画、技術検証)が24%で、計67%が推進中以上だったのに対し、米国は「活用中」43%、「推進中」48%で計91%が推進中以上となった。
PwCが2023年10~11月に実施したCEO意識調査では、生成AIの業務活用の割合は日本が50%で、米国(38%)、欧州(28%)、中国(27%)と主要他国をリードしていたが、今回の調査で、日本が米国にリードを許した形だ。
生成AIの活用効果に対する期待の受け止め方も、日米で差が出た。
「期待を大きく上回っている」と答えた割合は、日本が9%だったのに対し、米国は33%と日本より24ポイント高い結果に。反対に「期待を下回る」とした回答は、日本が米国よりも7ポイント高くなった。
期待の受け止め方に差が出た要因を探ると、日米で生成AIのユースケースに違いがあることが見えてきた。「期待を大きく上回っている」と答えた企業が生成AIをどんな用途で使っているか調べると、日本では、報告書やメール作成、要約、校正など「テキスト系」の活用に片寄っている傾向が浮かび上がった。
一方、米国ではテキスト系だけでなく、イラストや画像、音楽生成などの「画像/音声生成系」、プログラムコード生成、カスタマーサービスの自動化など「開発/新規ビジネス系」など、より幅広く活用されている様子が分かった。
また、生成AI活用の指標とする項目について、日本は「社員生産性」「工数・コスト」と答えた割合が米国より20ポイント以上高かったのに対し、米国は「顧客満足度」と答えた割合が日本より29ポイントも高くなった。
PwC執行役員パートナーの三善心平氏は「日本は既存業務の効率化が生成AIを活用するメインの目的となっているのに対し、米国では顧客体験価値の向上などが重視されている」と分析する。
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