根性論をなくす 人材育成を変革する「音声データ」活用法とは?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月29日 7時25分
このような場合も、音声データをAIで解析することで、「ゆっくり」とは一秒あたり何文字で話すとよいのか、「よく聞く」とは何%の時間を使って話を聞くことなのかを定量的に示すことができます。
また、具体的な改善策が見えない状況では、目標設定も「1日100件電話する」「月に100人から名刺をもらう」という、気合いと根性による数の論理になりがちです。音声データを蓄積・分析することで「この業界は、何曜日のこの時間帯に電話をかけるとつながりやすい」といった、行動と成果の相関性も明らかになり、データに基づいた効果的なKPI設定が可能になります。
●顧客からの「ありがとう」を可視化 評価に反映
音声データの活用が進むことで、評価基準も変えることができます。営業活動を例にすると、これまでは売り上げや案件数といった結果に重きが置かれてきました。そのため、顧客から重要な課題を聞き出したり、将来的に受注につながる可能性のある関係性を築いたりすることは、目先の受注に至らなければ評価の対象になりません。
しかし、中長期的な視点で見ると、そのような顧客との関係構築も重要な活動となるはずです。また、仕事の本質が顧客の課題解決であり、感謝されることであるとすれば、これらに貢献する活動と成果も評価に値するといえます。音声データの活用は、営業活動の結果だけではなく、プロセスも可視化します。例えば、顧客から何度「ありがとう」を言われたかを数えることで、顧客満足度や信頼関係の構築に貢献した度合いを評価に反映できます。
多くの従業員は他者に貢献することや感謝される仕事にやりがいを感じます。このような新しい観点で評価基準を刷新していくことは、従業員のモチベーション向上や、職場の定着率の向上にもつながります。評価基準の見直しは企業文化の刷新にもつながり、他社との差別化要因にもなるでしょう。
●自身の「話し方のクセ」に気付き自己改善
これまで他者から教わるよりも、自ら調べ学んだことのほうが圧倒的に楽しく身についた経験は誰にでもあると思います。ビジネスにおいてもいかに自ら学ぶような姿勢=セルフコーチングをするような環境を作って、能力を高めるかが重要になってきます。
音声データを活用すれば、話し方、話すスピード、沈黙の回数、相手の会話に被せて話した回数などを定量化することができます。ハイパフォーマーの話し方を分析して可視化することで、ハイパフォーマーは自分の長所を把握することができ、他の人はその内容を参考に、自分の改善点を確認しながらトレーニングができます。
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