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GUの米国進出、レッドオーシャンでどう戦う? “ほぼ無名”からZ世代人気をつかめるか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月30日 6時30分

 例えば、著名インフルエンサーが始めたカジュアルブランドのPOPFLEXでは、商品開発の過程や、いろいろなボディサイズのモデルが商品を着たショート動画を商品ページに表示しています。商品のアピールポイントも文章より動画の方が伝わりやすいため、このような施策はとても効果的です。

 さらに、認知をいかに広げるかかという課題も存在します。姉妹ブランドのユニクロと異なり、GUは米国市場では比較的無名です。H&M、Zara、FOREVER 21のような既存の有名ファストファッションブランドや、SHEIN、Temuといった新興のデジタル大手がひしめくレッドオーシャンに参入することになるため、ブランドの認知を確立し、ユニクロとの差別化を図るという点でGUの前に高い壁が存在することは間違いありません。

 実際、業界の専門家によれば、米国でブランドの認知度を高めるのは「少し苦しい戦い」になる可能性があるといいます。Z世代はTikTokのようなSNSを参考にして買うものを選ぶ傾向があるため、この層へのリーチとエンゲージメントを成功させるには、特にデジタルの領域で効果的なマーケティング戦略が必要とされるためです。

 米国ではコロナ以降、運動がしやすくカジュアルで、かつファッショナブルな新しいカテゴリであるアスレジャーカテゴリが伸びています。例えば、アスレジャーカテゴリの代表ブランドであるルルレモンでは、パーカーが1着130ドルほどします。

 今まではカジュアルファッション=低価格だったものが、アスレジャーのファッショナブルな要素を取り入れるだけで、2~3倍の価格帯になる可能性もあるのです。このところ、インフレが止まらない米国では低価格で質の高いアパレル商品が買える機会は減ってきました。その中で、GUが日本発の高品質なアパレル商品を比較的低価格で米国の消費者に提供できるとしたら、そこにはマーケットのチャンスがあるかもしれません。

●著者プロフィール:石角友愛(いしずみ・ともえ) 

パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナー

2010年にハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した後、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。

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