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なぜ日本のマンガは、次々に「メガヒット」するのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月13日 8時10分

 これは、日本で映画が年間で676作品、近年の日本のテレビアニメ制作本数が300前後で推移していることと比べると、かなり多いことが分かります。さらに、海外と比較してみても、年間で生まれる作品数は、米国のアメコミの新刊点数は不明ですが市場規模で半分ほど、韓国ではウェブトゥーンが2617作品ですので、日本のマンガの数は突出しているようです。

 漫画業界では、ヒット作品が生まれる確率は「千三つ」と言い、1000作に3作ほどの割合でヒット作品が生まれると言われています。つまり、ヒット作品をつくる唯一無二の方法はたくさんの作品をつくるということになります。

 生み出される作品が多いほど、ごくわずかな確率で生まれるとんでもないヒット作品が出て来る可能性が上がるのです。ごくわずかな作品を制作し、狙いすましてヒット作品をつくろうにも、なかなかそうしたことは起きません。

●週刊漫画誌という発明

 では、なぜ日本でここまでたくさんのマンガを生み出すことができたのか? それは、漫画雑誌、とりわけ週刊漫画雑誌という存在が大きく寄与しています。

 現在の漫画雑誌は、今から60年以上前の1959年に小学館の週刊少年サンデー、講談社の週刊少年マガジンが、同時に創刊したところから形づくられました。のちに集英社の週刊少年ジャンプ、秋田書店の週刊少年チャンピオンなども創刊し、それがマンガ発展の基礎となる、多数かつ多様な作品を産む土壌となり、ヒット作品を産み出す基盤になっています。

 これより前、貸本や漫画少年などその原型になるものはありましたが、今回は今のヒット漫画にフォーカスするため、あえて週刊漫画誌あたりから話をスタートします。

 週刊漫画雑誌というのは、世界に類のないユニークなものでした。

 紙のマンガの時代、先行していた米国のマンガであるアメコミの世界でも日本の「連載」の概念に近いかたちで、1話1話を20~32ページの冊子で販売する「リーフ」という形態をとっていました。また、週刊ペースに近い形態で発刊することもありますが、その場合は奇数話と偶数話で制作チームが違うなどといった、並列制作が可能な制作スタジオ形式を取るなど、1作に1漫画家と1編集者という日本のスタイルとは少し違うかたちとなっています。

 フランスのマンガ「バンドデシネ」にいたっては、芸術性を評価されるお国柄があるからか、1作家が1年間かけて単行本(日本で言うと新書1冊というようなページのボリュームのもの)1冊を作って発表するというようなかたちが多いようです(ヒット作家さんのインタビューによると、ネームや下書きを描かないなど、日本と違う所も多いようです)。

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